(統計データによる事業承継の現状)
1.社長の平均年齢の推移(帝国データバンクより)
2020年の統計データによると、社長の平均年齢が初めて60歳を超えました。
<社長の平均年齢><男性の平均寿命>※社長は男性の数が多いため
1990年 54.0歳 75.9歳
1995年 55.4歳 76.3歳
2000年 56.6歳 77.7歳
2005年 57.7歳 78.5歳
2010年 58.4歳 79.5歳
2015年 59.0歳 80.7歳
2020年 60.1歳 81.4歳(2019年)
この社長の平均年齢が上昇していることは、一体何を意味しているのでしょうか?
考えられる要因を挙げてみると
①平均寿命の上昇により必然的に続行期間が伸びた
②後継者不足により社長の在任期間が長期化した
が考えられます。
2.先代経営者と現経営者(後継者)の関係(中小企業基盤整備機構より)
それでは、次に先代経営者と現経営者(後継者)との関係のデータをみると
①親族(子供・配偶者・兄弟等) 55.4%
②役員・従業員(他人) 19.1%
③社外の第三者(他人) 16.5%
親族承継が55.4%となっておりますが、中小零細企業に限りますともう少し割合が
上がりますし、少し昔になるとその割合が一層上がっております。
3.社長の事業承継への考え方(中小企業基盤整備機構より)
最後に、社長が事業承継に対してどのような承継を考えているのかというデータを
見てみますと
①親族への承継を考えている 25.9%
②現在は事業承継について考えていない 35.5%
③事業を承継するつもりはない 29.1%
という意外な結果が出ております。理由としては、②については社長自身がまだ
体力気力あるためそこまで考えていない、③については事業自体がうまくいって
いないため承継させたくない。などが考えられます
(事業承継の実情)
自分自身が関わった事業承継において、現実的にはどのような実態であるのかを
かいつまんで記述したいと思います。(あくまでも一例ですが、他の事業承継の記述では
なかなか書いてはいないものです。)
1.後継者の実態(親族内承継の場合)
なぜ、後継者になったのか
①自分の意志で(親等の事業を小さいころから見ていて)
②親等から言われて(小さいころからそうなるようすりこまれた)
③他で働いていたが、いやになり、とりあえず家の事業を手伝ってみようかな
(どちらかというと、淡い理想を求めて)
④なんとなく成り行きで
実際は、事業承継の本等に記載されているようなきれいごとばかりではありません
また、現在では承継する前提として「儲かっている」ことが大きな位置を占めます。
2.後継者の実態(親族外承継の場合)
後継者になってからの実情
①継続して頑張っている
②先代の経営者からの評価が悪く、辞めた又は辞めさせられた
③重圧に耐えかねて辞めた
身内でしたら、お互い多少の言動は耐えられ、理解するのですが、そこはやはり
他人なので、身内ほどは意思疎通が簡単ではありません。
(自分自身の事業承継をふまえて)
自分自身も2代目で後継者として事業承継をしました。自身は顧問先等に事業承継に
ついて、説明・指導していた立場でしたが、自分が事業承継を受ける立場となると少し
戸惑いました。理屈では分かっていたのですが、なかなか理屈通りではいかない部分も
多々ありましたが、とてもよい経験となりました。その経験を踏まえて現在事業承継の
指導等をしておりますので、事業承継をする側・される側の気持ち等もよく理解して
いるつもりです。
1.事業承継3年前
事業承継3年前に、父が突然「3年後には引退するから、それまでに自分で考えて
準備等しておくように」との発言。
自身の承継について計画を立てて、職員の新規採用から事務所管理体制まですべてを
ゼロベースで見直して少しずつ実行
2.事業承継直前直後
顧問先とは、だいたい面識はあったが、やはり先代の影響は大きいので、少しずつ
顔つなぎやフォローをしてもらい「人」の部分に関しては円滑に承継
事業資産のうち、私的なもの後々影響が出てきそうなものについては整理
3.事業承継から現在に至るまで
承継直後から完全にバトンタッチされて、父は業務自体には一切かかわらず、顧問
として現在も相談している
過去のいきさつ等については知らないことも多いので確認したり、何かあったときは
前面に出てきてもらっている