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【時事解説】中小企業における組織運営の透明化

 経営計画プロセスにおいては、従業員に経営理念・ビジョンを共有することや、経営計画の内容や進捗を全社に周知徹底することが重要となります。
 「中小企業白書2025年版」では、従業員に対する情報開示や業務の脱属人化、経営状態を可視化できる経営管理を「透明性」と定義し、アンケート調査に基づき組織運営の透明性に向けた取組状況と取組効果について分析しています。

 まず「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」のそれぞれについて「取り組んでいる」と回答した割合は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」が70.2%「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」が57.0%、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」が51.5%となっています。

 次に「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」への取組状況別に人材の定着率をみると、いずれの取組みについても「取り組んでいる」事業者のほうが、定着率が高い傾向にあることが分かります。

 さらに「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」への取組状況別に付加価値額の変化率(中央値)についてみると、いずれの取組みについても、「取り組んでいる」事業者のほうが付加価値額の増加率が高いことが分かります。

 このように従業員への経営理念・ビジョンや業績・財務内容等の共有は、従業員の主体性の醸成につながり、業績の向上や人材の定着に資する可能性が示唆されているのです。
 では、中小企業における組織運営の透明化の取組みは具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2025年版」において、従業員を主役としたミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定や人事制度改革などを通して組織活性化を実現した企業の事例として紹介された側島製罐株式会社(本社:愛知県海部郡大治町)の取組みについてみていきましょう。

 側島製罐株式会社は、1906年創業の製缶会社で、小ロット・短納期で製造する強みを持っています。
 同社の現代表は2020年に金融機関を退職し、家業に入社したときから実質的に経営者となりました。同社は2000年以降減収が続き、現代表が入社した2020年12月期には過去最低の売上高の状態にありました。現代表は社員間の雰囲気が悪く組織として機能していなかったこと、よりどころとなる経営理念がないことに強い問題意識を抱いていました。

 そこで組織改革の原点とすべく、全社員を巻き込んで、自身が働く意味、同社の存在意義・価値を定義するMVV策定に着手しました。現代表自身の役割は取りまとめと言語化にとどめ、策定のオーナーシップは社員に任せる形とし、約1年を掛けて作り上げました。その後、現代表は全員が経営を自分事と捉える自律型組織の構築に取り組みました。組織づくりにおいては、社長を含む役職、評価などは全て撤廃したほか、各自がやるべきミッションを自ら考え、報酬を宣言・決定する自己申告報酬制度も導入しました。

 MVVの策定以降、売上高は2020年12月期を底に20年ぶりに増収に転じ、その後は3年連続増収を達成しました。
このように 従業員を主役としたMVVの策定等など通して、企業の成長を実現することが可能となるのです。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)


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2026年5月25日更新
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