最近の支援事例 1
(きっかけ)
会社で不動産賃貸を経営している顧問先から、お持ちの賃貸物件(鉄筋コンクリート7階建て 築35年)のことで電話があり、内容は「エレベーター点検業者から部品交換を含め500万円を超える見積り書を頂いたけど、これは修繕したほうが良いですかね?」という相談でした。
(分析資料の作成)
この会社は、前の税理士から移って来られて3年目でしたので、過去からの工事状況は減価償却資産の明細書しかありませんでした。その明細書をつぶさに見て、新築後から行ってきた各種修繕工事について修繕周期一覧表を作成しました。
一覧表を作成してみると気付いたのですが、屋上防水工事の計上がありませんでした。そこで確認するために、経営者の方に「築22年目に外壁塗装工事+シーリング補修工事を行っていますが、同時期に屋上防水工事はしていませんか? 外壁に足場を作ったりするので同時に屋上もされる方が多い工事ですが。」と尋ねてみると、思い出したように「屋上でシーリング部分が欠けていると言われた記憶がある」との回答でした。ただ、その年度に計上されている工事代金が思ったよりも低い価額だったので屋上防水工事がきちんと行われたかどうか疑問があるため、「念のために、専門業者などに一度屋上の状況を見てもらった方が良いかもしれませんね。雨水が建物の一番の大敵ですからね。」とお伝えしました。
(エレベーターの工事)
一覧表からはさらに、築23年目の年にエレベーターの部品交換をして資産計上されていること、給排水管工事は一度も行われていないこと(ただし、修繕費としてその年度の損金に全額計上した可能性はある)も分かり、その旨経営者の方にお話ししました。そしてエレベーターについては、「電子制御基盤は30年過ぎると、同じ型式は保管しなくなるため、その部分が壊れると修理ができなくなる可能性が出てきます。最低、その基盤部分だけでも交換したほうが良いかもしれません。ただ金額は結構しますよ。」とお話ししました。
(問題点の確認)
ところが、大きな問題がありました。それは資金繰りです。
申告書(損益計算書)からは税金は払うか払わないかのラインでしたが、キャッシュフロー上は毎年50万円程度の赤字(現金持ち出し)が起きている状態でした。経営者の方は、銀行返済するために個人への地代支払を未払にしてお金を作り出している状況でした。
(解決策の提案)
そこで弊事務所としてお話ししたのは、
① このままでは代表者への未払費用が相続財産になってしまうこと、
② キャッシュフローを黒字化するためには、家賃収入を上げること、
を説明し、タイミングとしては賃貸借契約更新のときに随時値上げしていくように管理業者に数カ月前から借主に話をしておくよう依頼しておくことが大事と説明しました。さらにしばらく家賃値上げの状況を見てから、エレベーターの制御装置のみの交換工事のタイミングを見ましょう。それまでは、エレベーターの点検をPOG契約からフルメンテ契約にし、異常が発生したらすぐに対処できるようにしておきましょう、とお話ししました。
経営者の方も、お話を分かっていただいたようでさっそく管理業者に話をされたそうです。