発行日:2026年03月02日
2026年3月の税務
3月10日
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月16日
●前年分贈与税の申告(申告期間:2月2日から3月16日まで)
●前年分所得税の確定申告(申告期間:2月16日から3月16日まで)
●所得税確定損失申告書の提出
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出(延納期限:6月1日)
●個人の青色申告の承認申請(1月16日以後新規業務開始の場合は、その業務開始日から2ヶ月以内)
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
3月31日
●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
-相続税と譲渡所得税- 土地が一体利用の場合
土地が居宅の敷地として利用されているかは、その土地が社会通念に照らし、一体利用されていることがポイントとなります。
◆相続税の土地の評価単位
相続税の計算では、相続した土地の地目、利用状況、利用する人の権利ごとに評価単位を判定します。
土地の地目は、宅地、畑、雑種地などの種類ごとに区分されます。一体利用されている土地が2以上の地目から成る場合は、主たる地目で評価することができます。地目は課税時期の現況で判定しますが、登記地目や固定資産税の地目と異なる場合もあるので、現地の確認が必要です。
宅地は利用の単位となる1画地の宅地で評価するので、数筆の土地であっても一体利用されていれば、全体を1つの評価単位とします。居宅の敷地部分の他に、庭や家庭菜園、自用駐車場など居宅の所有者が利用する土地が隣接している場合は、それらの一団の土地が社会通念に照らし、一体利用されているかを判定します。
土地の評価単位は、利用する人の権利によっても影響を受けます。使用貸借であれば借主の権利は土地所有者に及ばないので自身の居宅敷地と併せ、全体を1画地として評価します。借地権や貸家建付地のように他人が土地を使用する権限を持つ場合は、利用権の設定された土地ごとに評価します。
◆譲渡所得の特例の適用範囲
居住用土地の譲渡所得の計算では、長期譲渡所得の軽減税率、居住用財産の3,000万円控除などの特例を利用できるので、売却する土地について居住用部分の敷地面積が大きくなるほど税額が少なくなります。
譲渡所得の計算においても居宅の敷地に隣接している土地は、社会通念に従い、一体利用されていると判断されれば、一団の土地全体に特例を適用できます。居宅敷地に庭や家庭菜園、自用駐車場などの敷地が隣接しているときは、利用状況から判断することが必要になります。
◆譲渡所得の特例は適用要件が厳しい
相続空き家の特例では、適用要件が厳しくなります。相続した土地に複数の建物があり、土地が一体利用されていたとしても、特例の適用は被相続人が主として居住していた母屋の面積に対応する敷地部分に限られますので、相続開始直前の土地の利用状況から判断することが必要となります。
なお、長期譲渡所得の軽減税率の特例は、相続空き家の特例では併用できません。
離職予測分析とは
◆離職予測分析とは
従業員の離職可能性をデータに基づいて予測する分析手法です。勤怠データや人事評価などを活用し、統計分析やAIモデルによって離職リスクの高い従業員を早期に特定し、適切な対策を実施することを目的にしています。
分析の成否はデータの質と量に大きく左右されます。例えば勤怠データでは出退勤時間だけでなく、残業時間の推移、遅刻、早退の頻度等これらのパターン変化は離職の前兆となることが多いからです。元々残業をいとわなかった従業員が急に定時退社するようになったり、有給の申請が急増したりなどは離職リスクの前兆とも考えられます。しかし各々の会社の文化や、制度変更で生じる場合もあります。
他の観点では従業員満足度調査やエンゲージメント調査によって仕事への満足度、上司との関係性、キャリア展望を測定します。退職者面談のデータは離職要因にとって重要であり、在職中の面談データと合わせた分析が必要です。
◆継続的にメンテナンスする
精度の高い予測には労働環境や従業員の価値観の変化に応じたデータ項目、収集範囲の拡張、データ形式の標準化等データの品質保持のための定期的なメンテナンスが必要です。ほかの人事制度と同様に一度作成しても、状況は変化してゆくので継続的な分析が必要です。また、プライバシー保護や利用目的の制限にも配慮しましょう。
◆離職防止にAIを使うメリット・デメリット
AIを活用することで膨大なデータを素早く分析し離職リスクや退職者傾向を評価でき、人間同士のコミュニケーションと比べて客観的な評価が可能になります。
・多面的な分析によって離職の予兆を把握
・公正で客観的な判断、安定したデータ
・過去データにより離職者の傾向を掴める
・離職を防止するための施策も提案する
一方デメリット、注意点としては
・AIによる評価が従業員の反発を招く可能性もある
・AIの分析には限りがあり、人間による判断も必要である。個別のニーズや柔軟な対応が求められる場合もある。
-令和8年度税制改正- 資産課税編
◆教育資金一括贈与の非課税制度は廃止
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は、令和8年3月31日をもって廃止されます。
この制度は、利用件数が減少していること、高額所得者に利用が集中して経済格差の固定化につながることが問題視されていました。令和8年度改正では、ガソリン税の旧暫定税率廃止や教育無償化の財源確保の手段として廃止されることとなりました。なお、同日までに拠出された金銭は、引き続き、この制度を利用できます。
◆事業承継税制は計画の提出期限を延長
1.個人事業承継計画
個人の事業用資産にかかる相続税・贈与税の納税猶予制度(個人版事業承継税制)では、「個人事業承継計画」の提出期限が、令和10年9月30日まで延長されます。
2.特例承継計画
非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度(法人版事業承継税制)のうち特例措置は、平成30年1月1日から10年間限定で全株式に100%納税猶予を認めるものです。この措置の適用に義務付けられる「特例承継計画」の提出期限が、令和9年9月30日まで延長されます。
◆貸付用不動産の財産評価の適正化
貸付用不動産の市場価格と財産評価基本通達による評価額との乖離を利用した節税策は、総則6項により時価評価を求める国税庁と通達評価額による評価を求める納税者との間で訴訟を多数引き起こし、課税上の扱いを予測困難にしていました。
令和8年度改正では、貸付用不動産に対する財産評価の取扱いが整備されます。
1.課税時期前5年内取得等の貸付用不動産
課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得・新築した貸付用不動産の財産評価は、課税時期の通常の取引価額に相当する金額により評価すること、課税上の弊害がない限り、貸付用不動産の取得価額をもとに時価の変動等を考慮して計算した価額の80%相当額で評価できるとされます。
2.不動産小口化商品
相続等で取得する不動産小口化商品の財産評価は取得時期にかかわらず課税時期の通常の取引価額に相当する金額とされます。
1・2いずれも令和9年1月1日以後に相続等で取得する財産の評価に適用されます。
なお、この改正は、通達に定める日の5年前から被相続人が所有する土地に新築した家屋には適用されません。
相続空き家の特例 -分筆して譲渡した場合-
相続空き家の敷地を譲渡する場合、面積の広い土地は分筆して譲渡すると売却しやすくなり、価格も高くなることがあります。
◆相続で取得した空き家の放置をなくしたい
相続空き家の特例は、耐震基準を満たさない居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたもの)を耐震基準に適合させて土地と家屋を一括して売却するか、あるいは、家屋の全部を取り壊して売却する場合に、その他の特例の適用要件を満たすときは、譲渡所得から3,000万円(相続人が3人以上の場合は、1人2,000万円)までを控除するものです。令和6年より、土地と家屋を一括して売却した後、譲渡した年の翌年2月15日までに、家屋が耐震基準に適合させるか、家屋の全部を取り壊す場合にも認められるようになりました。
◆被相続人ごと、相続人1人につき1回まで
この特例は、相続人の譲渡所得税を大幅に軽減させる特典を与えるものであるため、制度の利用は同一の被相続人について、相続人1人につき、1回までに制限されます。
たとえば、相続で取得した土地を2筆に分筆して譲渡する場合、2回に分けて売却することになりますが、そのうち、1回について特例の適用を選択できます。また、一度選択した特例の適用は、後で変更できません。例えば、1回目の売却に特例の適用を選択した相続人は、その後、2回目の売却が1回目の売却より譲渡所得が大きくなるからといって、1回目の譲渡所得について修正申告書を提出しても2回目の売却で特例の適用を受けることはできません。
◆同じ年に売却すれば、全部に特例を適用
しかし、居住用家屋を取り壊した後、その敷地であった土地を分筆して同じ年に売却する場合には、特例の適用要件を満たしている限り、双方に特例を適用できることが国税庁の質疑応答事例で示されています。
ただし、同一年に分筆した双方の土地を売却して生じた譲渡所得について3,000万円まで(相続人が3人以上の場合、1人2,000万円まで)の控除が限度となります。
◆特例の適用は居住用家屋の敷地に限られる
相続空き家の特例は、相続開始の直前に被相続人が主として居住の用に供される家屋と一体として利用されていた敷地部分にのみ適用されます。離れ、倉庫、車庫などに供されていた敷地部分には適用されません。その場合は居住用家屋とその他の建築物の床面積割合で按分して居住用家屋の敷地部分に特例を適用します。