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2023年度 税制改正情報

税制改正情報

所得税

NISAの抜本的拡充・恒久化
(1)「資産所得倍増」「貯蓄から投資へ」の観点から、NISA制度について、非課税保有期間を無期限化するとともに、口座開設可能期間については期限を設けず、恒久的な措置とします。

(2)一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の枠(「つみたて投資枠」)については、年間投資上限額を120万円に拡充します。

(3)上場株式への投資が可能な現行の一般NISAの役割を引き継ぐ「成長投資枠」を設けることとし、「成長投資枠」については、年間投資上限額を240万円に拡充するとともに、「つみたて投資枠」との併用を可能とします。

(4)非課税保有限度額を新たに設定した上で、1,800万円とし、「成長投資枠」については、その内数として1,200万円とします。
極めて高い水準の所得に対する負担の適正化
税負担の公平性の観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化のための措置を設けます。(令和7年分の所得から適用)
【措置の内容】
① 通常の所得税額
②(合計所得金額※ ー 特別控除額(3.3億円))×22.5%
  ⇒②が①を上回る場合に限り、差額分を申告納税

※株式の譲渡所得のみならず、土地建物の譲渡所得や給与・事業所得、その他の各種所得を合算した金額。
※スタートアップ再投資やNISA関連の非課税所得は対象外であるほか、政策的な観点から設けられている特別控除後の金額。
特定非常災害に係る損失の繰越控除の見直し
(1)特定非常災害による【住宅・家財等の損失】について、1年間で控除しきれない損失額(雑損失の金額)の繰越控除期間を3年間から5年間へと延長します。 

(2)特定非常災害による【純損失】につき、以下の場合には、次の損失額について繰越控除期間を3年間から5年間へと延長します。
①保有する事業用資産等のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が10%以上である場合、
 ・青色申告者についてはその年に発生した純損失の総額
 ・白色申告者については被災事業用資産の損失の金額と変動所得に係る損失の金額の合計額
②特定被災事業用資産の損失の割合が10%未満の場合には、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額

※純損失:不動産所得、事業所得、譲渡所得及び山林所得の金額の計算上生じた損失(総収入金額から必要経費(災害による事業用資産の損失を含む)を引いたもの)の金額のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額

法人税

研究開発税制の見直し
(1)研究開発費の増加インセンティブを更に強化するため、試験研究費の増減に応じた税額控除率のカーブを見直します。

(2)税額控除上限に到達した企業に対してもインセンティブ強化となるよう、試験研究費の増減に応じて、税額控除の上限も変動させる制度を新たに導入します。

(3)幅広いスタートアップ企業との共同研究・委託研究を促すため、オープンイノベーション型の「研究開発型スタートアップ企業」の範囲を大幅に拡大します。

(4)ビッグデータやAI等を活用した「サービス開発」に係る試験研究費については、サービス開発に当たりビッグデータを新たに収集すること等が要件となっていましたが、新たなサービス開発を促すため、既存のビッグデータを活用する場合も研究開発税制の対象とします。
中小企業投資促進税制の見直し
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度(中小企業投資促進税制)について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
①対象資産から、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他のものに委託するものを除外します。
②対象資産について、総トン数500トン以上の船舶にあっては、環境への負担の低減に資する設備の設置状況等を国土交大臣に届け出た船舶に限定します。
中小企業経営強化税制の見直し
中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上、その適用期限を2年延長します。

消費税

適格請求書等保存方式(インボイス制度)に係る見直し
(1)小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置
①免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合の負担軽減を図るため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置を3年間講ずることとします。
②これにより、業種にかかわらず、売上・収入を把握するだけで消費税の申告が可能となることから、簡易課税を選択する場合より、事務負担も大幅に軽減されることとなります。

(2)一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置
インボイス制度の実施にともなう、事務負担を軽減する観点から、基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が1億円以下である事業者については、インボイス制度の施行から6年間、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除を可能とします。
※基準期間における課税売上高が1億円超であったとしても、前年又は前事業年度開始の日以後6か月の期間の課税売上高が5,000万円以下である場合は、特例の対象とします。

(3)少額な返還インボイスの交付義務の見直し
事業者の実務に配慮して事務負担を軽減する観点から、少額な値引き等(1万円未満)については、返還インボイスの交付を不要とします。

資産税

相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税制度について、暦年課税の基礎控除とは別途、110万円の基礎控除を創設するとともに、相続時精算課税で贈与を受けた土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合に相続時にその課税価格を再計算する見直しを行います。
※上記改正は、令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用されます。
暦年課税制度の贈与と相続税への加算期間の改正
暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間を相続開始前3年間から7年間に延長し、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しない見直しを行います。
※上記改正は、令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用されます。
教育資金の一括贈与の非課税措置の見直し
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を3年延長します。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の見直し
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を2年延長します。

その他

電子帳簿等保存制度の見直し
(1)電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子取引データ)の保存制度については、原則として保存要件(注)に従って、電子取引データを保存しなければならないこととされています。
 今回の見直しにおいて、電子取引データを保存要件(注)に従って保存をすることができなかったことにつき相当の理由がある事業者等に対する新たな猶予措置を講じます。

 (注)具体的な「保存要件」については、「改ざん防止の要件(タイムスタンプ等)」、「検索機能の確保の要件」、「見読可能装置の備付けの要件」等があります。
【見直し】
〇現行の経過措置は、、適用期限(令和5年12月31日)の到来をもって廃止。
〇相当の理由があると認める場合(事前手続不要)、その電子取引データの出力書面の提示・提出の求め及びその電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、保存要件を不要として、電子取引データの保存を可能とする。

(2)スキャナ保存制度について、制度の利用促進を図る観点から、以下のとおり更なる要件の緩和措置を講じます。
①記録事項の入力を行う者等の情報を確認できるようにしておくことを不要とします。
②スキャナで読み取った際の情報(解像度・階調・大きさ)の保存を不要とします。
③帳簿との相互関連性を求める書類を重要書類に限定します。
※重要書類:資金や物の移動に直結・連動する書類(契約書、領収書、請求書等)

(3)優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置(注)の対象帳簿(所得税・法人税)の範囲について、以下の合理化・明確化を行います。
【見直し】
〇「その他必要な帳簿」について、申告に直接結びつきやすい経理誤り全体を是正しやすくするかという観点から、帳簿の範囲を合理化・明確化。

<対象となる帳簿の具体例>
・売上帳、仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く)、売掛帳、買掛帳(注)所得税の場合は、賃金台帳も対象となる。
・受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、有価証券受払い簿
・固定資産台帳、繰延資産台帳 等
※令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。
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