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事務所だより:

★事務所だより7月号★

発行日:2026年06月30日
いつもお世話になっております。

本格的な夏の前に、木々の緑が色濃くなってまいりました。
蒸し暑い日が続いておりますが、お身体ご自愛下さい。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2026年7月の税務

7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)

7月15日
●所得税の予定納税額の減額申請

7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)

退職年金の継続受給権に対する相続課税

◆退職年金は、みなし相続財産として課税
 退職年金を受給していた被相続人が死亡すると、残存期間の年金が相続人等に支払われます。年金は相続人等が固有の権利として取得したものですが、相続により取得したものとみなして相続税が課税されます。

◆継続受給権の財産評価
 退職年金の継続受給権は、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、みなし相続財産に分類されます。
 相続人等が死亡するまで(相続人等が保証期間中に死亡した場合は保証期間が終了するまで)年金を継続受給する場合、受給権の評価額は、有期定期金、または終身定期金として算出した金額のいずれか多い金額とされます。

◆遺族年金の相続税は非課税
 ところで厚生年金、国民年金等の遺族年金は、厚生年金保険法、国民年金保険法など個別の法律によって受給者が被相続人に生計を維持されていたことを条件に非課税とする取扱いが定められています。
 一方、相続税の非課税財産の規定には、遺族年金を非課税とする旨の扱いはありません。その代わり、相続税法基本通達には遺族年金について、国民年金保険法、厚生年金保険法など個別法により相続税が課税されないことに留意するよう示されています。みなし相続財産であれば、契約に基づかない定期金に関する権利として課税されるのが原則です。

◆米国遺族年金は相続税が課税される
 それでは遺族年金に相続税を課税しない取扱いは、外国の遺族年金にも適用されるのでしょうか。米国遺族年金について相続税が課税されるか争われた事例があります。
 国税不服審判所の審判事例では、遺族年金が非課税となる取扱いは、個別法で国民年金、厚生年金等に設けられたものであり、米国の遺族年金をみなし相続財産として課税する取扱いを妥当とする裁決が出されています。
 令和8年2月には、地裁においても米国遺族年金の受給権について相続税の課税処分を妥当とする判決が出されました。

◆課税の公平は守られているか?
 司法判断は外国の遺族年金への課税は「合理性を欠くということはできない」として平等原則に違反しない旨を判示しました。しかし、遺族にとって国内の年金、海外の年金を問わず、生計維持のための経済的価値は変わらないとみることもできます。

名義預金の相続課税

◆見落としやすい名義預金
 遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
 税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
(1)預金の原資は、誰が出捐したか
(2)預金口座は誰が開設し預入れしたか
(3)預入者の意思はどのようなものであったか
(4)通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
 被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
 反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
 国税庁の「誤りやすい事例⑥ 申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。

◆配偶者の名前で預金した場合
 夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
 なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。

◆子や孫に財産を残すための意思表示
 被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。

相続税の連帯納付義務

◆相続税の納税は相続人全員の連帯責任
 遺産分割が終わり、申告書を提出して自身の相続税の納税は済んでいるのに、共同して申告した者に相続税の滞納が生じると、あなたにも滞納者の相続税の納付義務があると通知されることをご存知ですか?
 相続税の扱いでは、各相続人等が相続や遺贈で取得した財産の価額から相続税額を控除した残額を相続人等の受けた利益として、その範囲内で各相続人等が相互に連帯して相続税を納付する義務を負っています。
 例えば、兄弟3人の相続人で、次男が相続税を滞納すると、長男、三男には、自身の受けた利益の範囲内で次男の滞納相続税について納付義務が生じます。

◆連帯納付義務者に届く納付通知書
 滞納している相続人が税務署から督促を受けた後、1か月経過すると、税務署は連帯納付義務者となる相続人、受遺者に、相続税が完納されていない旨のお知らせを送付します。その後、連帯納付義務者に納付を求める場合、連帯納付義務者に納付通知書を送付します。納付通知書には①相続税が完納されていない旨②相続人、受遺者には連帯納付義務がある旨③その相続に係る被相続人の氏名等が記載されています。

◆未納の連帯納付義務者に督促状を送付
 連帯納付義務者が納付通知を受けた後、2か月以内に完納されない場合は、連帯納付義務者に督促状が送付されます。
 なお、申告期限から5年以内に通知がない場合、相続人が延納や納税猶予を受けている場合は、連帯納付義務は生じません。納付されるまでの間、連帯納付義務者には利子税が課されます。

◆相続人に連帯納付義務を課す理由
 相続税は、相続財産の総額に課税され、これを相続人、受遺者が取得した財産の価額に応じて各人の納付税額が算定されます。
 税務署が財産を取得した全ての相続人、受遺者に連帯納付義務を課すのは、徴収漏れを防ぐことにあります。実務と異なりますが、遺産分割の前に相続税を先に納付し、残った財産を遺産分割すると考えれば、連帯納付義務に納得しやすいかもしれません。

◆遺産分割協議は納税義務を含めて合意する
 相続財産のうちに売却困難な不動産があるときは、相続税の納税資金を確保できるよう事前に検討しておくことが大事です。また、遺産分割の際は、相互に相続税の連帯納付義務があることを合意しておくことが必要と言えそうです。

弁護士が相談前に関係者名を聞く訳(士業における利益相反)

◆弁護士に相談する際の第一手順
 弁護士に相談する際に、トラブルとなっている相手方や関係者などがいる場合には、相談開始前に、その関係者名(会社などの法人・団体の場合はその名称)を聞かれます。この手続きを法律事務所の利益の相反(コンフリクト)チェックといいます。なぜ、報酬の説明ではなく、先にこの手順(=コンフリチェックと呼ばれます)を踏むのでしょうか。

◆弁護士法と職務規程でのコンフリチェック
 これは、相談や依頼の内容が、法律事務所がすでに受任している別の顧客(過去を含む)と「利益相反」の関係にないかを確認する作業です。弁護士法や職務基本規程で禁止されている「敵対する両者から依頼を受けること」を回避し、相談者の利益と職務の公正を守るために必ず実施されます。

◆その他士業のコンフリチェック
 弁護士以外の士業でも、守秘義務違反や公平性の欠如を防ぎ、倫理的・法的に適正な業務を行うためにコンフリチェックが必要な場面があります。
(1)公認会計士・監査法人
 監査業務とコンサルティング業務の並行です。クライアントへの監査と利害が伴うコンサルティング(非監査業務)を同一法人が行う場合に利益相反となります。
 そもそも法定監査は、会社法や金融商品取引法などに基づき、大企業や上場企業が作成した財務諸表(計算書類)が適正かどうかを公認会計士・監査法人が調査することです。主な目的は、株主、債権者、投資家などの利害関係者を保護し、財務情報の信用性を担保することにあります。企業の利益を目的にするコンサルティング業務とは対極的なものであり、同時に引き受けることはできません。
(2)社会保険労務士
 一方の利益となる行為が他方の不利益になる状態です。たとえば、顧問企業の従業員からの労働相談(解雇、未払い賃金など)を受ける場合などが該当します。
(3)行政書士
 双方代理の禁止(同じ事件で、利害関係が対立する両当事者から依頼を受けること)、利益相反の禁止(依頼者の利益と行政書士自身の利益がぶつかること)の場面で受任してはなりません。これは公正な職務遂行を妨げるためであり、離婚協議や遺産分割協議、契約書作成業務などで注意が必要となります。
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