専門職の経験や特殊技能を持っている社員は会社にとって貴重な財産。こうしたキャリアのある社員に少しでも長く勤務してもらおうと、定年延長や雇用継続を実践する会社が増えています。しかし、定年に達した社員を引き続き雇用する場合、退職金の取り扱いが問題になるケースもあります。
多額の支出を避けたい会社としては、実際の退職時に支給したいところですが、継続雇用する場合の税務上の取り扱いには十分な注意が必要になります。
継続雇用する社員に対して、退職金の支給額が確定している場合、実際には支給せずに、退職給与相当額を「未払金」扱いとして税務上の損金に計上したいと考えがちですが、原則としてこれはできません。
退職金の損金計上扱いは、現実に退職金を支給した場合にのみ認められるものです。いったん確定した退職金をその時に支給せず、実際の退職時に支給するということであれば、定年に達した日を含む事業年度での損金計上は認められません。
それでは、実際に退職金は支給したものの、その社員がまだ退職していない、という場合はどうなるのでしょうか。
定年後も引き続き雇用するひとに対して「退職金」を支給したケースであっても、定年後の身分関係が正規の社員と異なるなど、実質的に「退職」があったと認められる事実があり、また、その後の退職給与計算に既往の在職年数を加味しないこととされている場合には、その定年時に支給した金額は税務上の「退職給与」として扱われ、法人所得の計算上は損金計上が認められます。
<情報提供:エヌピー通信社>