松田 次郎 税理士事務所
「事業のかかりつけ医」として安心経営をサポートします。
事務所だより
消費税率改定「実務的な対応について」
消費税率改定時の実務的な対応についてご説明した「事務所だより」第6号になります。
(平成26年3月17日)
消 費 税 率 いよいよ引き上げ
所得税の確定申告期も終わり、消費税率の改定が2週間後に迫ってきました。
今回は直前の対策として、改正条文を読むだけでは判りにくい消費税増税の影響と実務的な対応を項目別にお伝えしたいと思います。
1、消費税の転嫁と対策について
売 上
消費税は商品やサービスの価格に対し、税率を掛けて計算されます。
そのため、4月以降の販売価格に8%の消費税率が転嫁できない場合、それは「売上が約3%減少する」という事を意味します。
視点を変えるならば、転嫁できなかった税額分だけ「利益が減少する」事であり、ひいては決算時における消費税の納税資金準備にも影響を及ぼすため、4月以降の「売上請求に対する8%税率の転嫁」は大変重要になってきます。
定期的な取引先に対しては、4月以降の請求について新税率の適用とそのタイミングについて事前に確認を取って頂く事が望ましいと考えられます。
また、小売業・飲食業などで売価的に細かい額を設定しにくい場合、一律8%転嫁ではなく、商品によって転嫁の程度を変え、売上全体で8%転嫁となる価格を設定する事も可能です。
仕入・経費
4月以降の諸経費についても税率は8%となりますが、その申告納税額への影響は消費税額の申告計算方法によって差があります。
一般課税事業者の場合
「売上にかかる消費税(仮受消費税)」‐「経費にかかる消費税(仮払消費税)」=「納税額」
上記の計算によって納税額が決まるため、増税分は仮払消費税の増加となり、その分「税務署への納税額が減少」します。
つまり一般課税事業者では、経費に対する増税の影響は「プラスマイナス0」となります。
そのため3月中の5%での購入にこだわらず、本体価格を吟味した上で必要な物品の購入を検討して頂ければ大丈夫です。
ただ、消費税の申告計算においては、売上・経費、すべての取引で5%と8%の区分が必要となるため、その記録と集計にご注意ください。
簡易課税事業者の場合
資産購入や経費にかかる消費税が申告納税額の計算に影響しないため、増税分がそのまま負担の増加となります。
それでも、簡易課税は税額計算における有利さで選ばれる事から、売上への8%転嫁を行う事で経費の増加分を賄うことができ、また、経費計算上5%と8%の混在に伴う複雑な決算処理計算の必要がない、というメリットがあります。
2、納税資金について
消費税率の3%アップは見方によっては小さく感じられる場合もあります。
しかし、納税額で考えれば「1.6倍」の増加であり、年間100万円の消費税を納税している事業者なら、今後は160万の納税資金が必要となる事を意味しています。
そのため消費税増税後の決算に向けて、納税資金確保がより重要となってきます。
毎月の納税見込み額を運転資金として消費しないため、別口座に「消費税積立」を行って頂く事も有効な方法と考えられます。
3、月締め請求と税率について
売上や経費の掛けに関して月締め計算を行っている場合、月末締めであれば3月と4月で適用される税率は区別できます。
しかし、20日締めなど月の途中に締日がある場合、4月締めの計算書には5%と8%が混在する事となりますので、3月31日までと4月1日以降の請求額の区分が必要となります。
また、入金時に売上計上を行っており、決算時のみに売掛金処理している場合、3月売上・4月入金分については5%課税での売上として記録して頂きますようご注意ください。
(経費についても、後日精算などでは同様にご注意ください。)
4、会計ソフトについて
新税率に対応していないソフトを使い続けた場合、増税後の消費税計算に対応できません。
また、4月以降の入力を済ませてから新税率対応版に切り替えた場合、入力済みの取引が正しい税率になっているかのチェックで2重の手間となります。
一般課税方式の事業者様で会計ソフトをご利用の場合、4月分の入力前に新税率対応版への切換えをお勧めします。
以上のほか、疑問・ご質問がございましたら相談ください。
こちらからpdf版をご覧になれます。
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(平成26年3月17日)
消 費 税 率 いよいよ引き上げ
所得税の確定申告期も終わり、消費税率の改定が2週間後に迫ってきました。
今回は直前の対策として、改正条文を読むだけでは判りにくい消費税増税の影響と実務的な対応を項目別にお伝えしたいと思います。
1、消費税の転嫁と対策について
売 上
消費税は商品やサービスの価格に対し、税率を掛けて計算されます。
そのため、4月以降の販売価格に8%の消費税率が転嫁できない場合、それは「売上が約3%減少する」という事を意味します。
視点を変えるならば、転嫁できなかった税額分だけ「利益が減少する」事であり、ひいては決算時における消費税の納税資金準備にも影響を及ぼすため、4月以降の「売上請求に対する8%税率の転嫁」は大変重要になってきます。
定期的な取引先に対しては、4月以降の請求について新税率の適用とそのタイミングについて事前に確認を取って頂く事が望ましいと考えられます。
また、小売業・飲食業などで売価的に細かい額を設定しにくい場合、一律8%転嫁ではなく、商品によって転嫁の程度を変え、売上全体で8%転嫁となる価格を設定する事も可能です。
仕入・経費
4月以降の諸経費についても税率は8%となりますが、その申告納税額への影響は消費税額の申告計算方法によって差があります。
一般課税事業者の場合
「売上にかかる消費税(仮受消費税)」‐「経費にかかる消費税(仮払消費税)」=「納税額」
上記の計算によって納税額が決まるため、増税分は仮払消費税の増加となり、その分「税務署への納税額が減少」します。
つまり一般課税事業者では、経費に対する増税の影響は「プラスマイナス0」となります。
そのため3月中の5%での購入にこだわらず、本体価格を吟味した上で必要な物品の購入を検討して頂ければ大丈夫です。
ただ、消費税の申告計算においては、売上・経費、すべての取引で5%と8%の区分が必要となるため、その記録と集計にご注意ください。
簡易課税事業者の場合
資産購入や経費にかかる消費税が申告納税額の計算に影響しないため、増税分がそのまま負担の増加となります。
それでも、簡易課税は税額計算における有利さで選ばれる事から、売上への8%転嫁を行う事で経費の増加分を賄うことができ、また、経費計算上5%と8%の混在に伴う複雑な決算処理計算の必要がない、というメリットがあります。
2、納税資金について
消費税率の3%アップは見方によっては小さく感じられる場合もあります。
しかし、納税額で考えれば「1.6倍」の増加であり、年間100万円の消費税を納税している事業者なら、今後は160万の納税資金が必要となる事を意味しています。
そのため消費税増税後の決算に向けて、納税資金確保がより重要となってきます。
毎月の納税見込み額を運転資金として消費しないため、別口座に「消費税積立」を行って頂く事も有効な方法と考えられます。
3、月締め請求と税率について
売上や経費の掛けに関して月締め計算を行っている場合、月末締めであれば3月と4月で適用される税率は区別できます。
しかし、20日締めなど月の途中に締日がある場合、4月締めの計算書には5%と8%が混在する事となりますので、3月31日までと4月1日以降の請求額の区分が必要となります。
また、入金時に売上計上を行っており、決算時のみに売掛金処理している場合、3月売上・4月入金分については5%課税での売上として記録して頂きますようご注意ください。
(経費についても、後日精算などでは同様にご注意ください。)
4、会計ソフトについて
新税率に対応していないソフトを使い続けた場合、増税後の消費税計算に対応できません。
また、4月以降の入力を済ませてから新税率対応版に切り替えた場合、入力済みの取引が正しい税率になっているかのチェックで2重の手間となります。
一般課税方式の事業者様で会計ソフトをご利用の場合、4月分の入力前に新税率対応版への切換えをお勧めします。
以上のほか、疑問・ご質問がございましたら相談ください。
こちらからpdf版をご覧になれます。
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- 添付ファイル:事務所通信006.pdf
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