感染症流行による事業環境の変化を踏まえて、中小企業において経営計画を策定することの重要性が高まっています。
ここからは、中小企業白書2021年版において実施したアンケート調査の結果に基づき、中小企業における経営計画の運用と感染症の影響の関係性などについてみていきましょう。
まず、経営計画の策定有無と、策定している場合の経営計画の策定期間別に感染症の影響について見ると、経営計画を策定しているかどうかで感染症の影響は変わらない一方で、経営計画の期間が長い企業の方が、感染症の影響について「非常に小さい」及び「やや小さい」と回答した企業の割合が高いことがわかります。
次に、感染症流行前における、経営計画の実績の評価や見直しの状況別に、感染症の影響についてみると、経営計画の見直しが「十分・概ね十分」と回答した企業の方が、そうでない企業と比べて感染症の影響が同業他社と比べて「非常に小さい」及び「やや小さい」と回答した企業の割合が高いことがわかります。
さらに、感染症流行前において、経営計画を見直して役に立った経験についてみると、「自社の課題が整理された(35.1%)」、「円滑に資金調達ができた(34.7%)」、「従業員の雇用を守ることができた(31.0%)」の順に回答割合が高くなっています。「経営危機を乗り越えることができた」を回答した企業の割合は7.4%と低くなっていますが、円滑に資金調達ができたことで危機に陥らなかった可能性も考えられます。
以上のように経営計画策定によって様々な効果が期待されるとともに、経営計画策定にあたっては、経営環境の変化に応じて評価や見直しを行うことが重要となるのです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)