政府税制調査会は7回目となる「税制のEBPMに関する専門家会合」を開き、租税特別措置(租特)の適用実態や中小企業税制の効果について、関係省庁から提出された検証報告書をもとに意見交換しました。
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)は、エビデンスに基づく政策立案のこと。内閣府ではこれを「政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくもの」と定義しています。
会合では、「租税特別措置の適用実態調査の結果」について財務省が報告したほか、中小企業庁が「中小企業税制の効果」を示しました。中企庁が提出した資料によると、「中小企業向け賃上げ促進税制」の適用件数は、2024年度実績で27万5014件。同税制による減収額は3330億円だったそうです。これに対し財務省側は、政策効果がないとする分析結果を新たに提示しました。
「中小企業向け賃上げ促進税制」は、前年度より給与支給額を1.5%または2.5%以上増加させた場合、その増加額のそれぞれ15%または30%を税額控除できる制度。また、一定の基準を満たせば税額控除率が5%上乗せされます。賃上げを実施した年度に控除しきれなかった分については5年間の繰越しが可能となっています。
財務省がこの「賃上げ促進税制」の適用を受けた企業の賃上げ率を分析したところ、大多数ですでに2.5%を上回っていたそうです。人手不足などを背景に中小企業でも賃上げが実施されているとして、このまま税制優遇を続けていく政策的な意味が薄れていると指摘。すでに大企業向けの賃上げ促進税制は今年3月末で廃止されている点も強調しました。
この日の会合に出席した専門家からも効果を疑問視する意見が相次ぎました。中小企業向けの賃上げ促進税制は26年度末に期限を迎えます。24年度の減収実績から試算すると、廃止すれば年間約3千億円の財源を捻出できるものとみられます。一方、経済産業省は27年度税制改正要望で同税制の延長・拡充を求めています。
<情報提供:エヌピー通信社>