高校留学時代、レポートを提出するため泊まりがけで書いていた大学時代、働きながら土日に神保町の税理士学校に通っていた社会人の頃、そして大学院時代、税理士試験勉強、開業してからの法律科目の勉強と、ずっと勉強を続けてきた。
不思議なものである。仕事をしながら法律科目に取り組む今の自分のほうが、税法に対する愛着と理解度が深まったと感じる。この特殊な科目の面白さに気づくのに、20年以上かかった。
大学院で租税法に初めて触れたとき、恩師の石島先生が聖書と言われる緑の本を教えて下さった。金子宏先生の「租税法」である。今でも緑色のカバーであり、当時は縦書きであった。確かに日本語の聖書に似ていると思ったが、2025年6月第10版は横書きであり、まるで英語の聖書に進化したようである。
金子先生の「租税法」の954頁に、納税申告とは「私人の公法行為」の一種と記載がある。私はこの「私人の公法行為」という言葉の響きに胸が躍る。独特の世界観をさらりとわかりやすく述べてしまう。司法試験全ての論述問題と択一試験を分かりやすく書籍化し勉強システムを作り上げて下さった尊敬する伊藤先生ですら、私人の公法行為という書き方で税法の論述問題の答案を書いていない。だからこそ、独特の世界観を表現した金子先生と新井先生のワンフレーズに心が躍る。
金子先生によれば、956頁に行政法の新井先生が、納税申告を私人のなす行為で公法的効果の発生を目的とするものとしている。新井先生の本が、明日アマゾンから届く。この言葉をさらりと書いて、納税者にとって一番欠かせない納税申告を語っている。司法試験でいけば、行政行為、行政処分、行政手続法の意義、解釈、判例等から納税申告という言葉を問題提起、規範、原則、修正、論証、あてはめで説明するだろう。しかし、それだけでは表現できないような法的解釈を簡潔に説明している素晴らしさに感動せずにいられない。
開業して20年以上経つのに、いまだに何かあれば、緑色の本で学問的見解の手口を確認しているのは、聖書を読むことと似ているのかもしれない。そして聖書を読んだ後のごとく、「租税法」の面白さに感謝を感じるのである。 以上 令和7年12月31日
税理士 原田潤子