相続法の大きな改正(H30.7.13公布)が、ありました。主なものを次に列挙します。
①預貯金は、これまで相続が開始すると銀行に凍結され引き出しができませんでした。この改正で、相続された貯預金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前でも払い戻しができるようになりました。
②自筆証書遺言は、従来全文を自筆で作成する必要がありましたが、この改正で、遺言書に添付する財産目録を「パソコンで作成した目録」や通帳のコピーなどを添付することで、自筆の文章の簡略化が可能になりました。
③自筆遺言書を「法務局」にも預けることができるようになりました
④「配偶者居住権」が創設、これは配偶者が相続開始時、被相続人が所有する建物に住んでいた場合、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。自宅を相続しなくても居住権が認められため、配偶者の生活の安定のため、貯金金等をより多く相続することができるようになりました。
⑤被相続人の介護や看病に貢献した親族(例えば子供の配偶者など)は、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与した場合、「相続人に対して金銭の請求」ができるようになりました。
⑥遺留分減殺請求によって生じる権利は「金銭債権」とすることとなりました。遺留分の減殺請求権の行使は、共有状態が生じ事業承継に支障が出ていましたが、遺言者の意思を尊重して改正されました。
(施行期日は原則として公布の日から1年を超えない範囲内の政令で定める日として法務省HPで発表されます。例外は、③、④で、同2年を超えない政令で定める日)。また②だけは、H31.1.13.より施行が確定しています。