国外払いの源泉所得税の特例「みなし国内払い」とは?
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◆非居住者等への支払いには要注意!
経済のグローバル化が進む中で、中小企業でも、海外の非居住者や外国法人との取引が増えてきました。このような取引が増えると、支払事務に際して、源泉徴収義務が生じるケースも多くなります。いろいろと税法のルールの確認が必要です。
例えば、非居住者等の国内源泉所得の支払を行った場合、「納税地」はどう考えればよいのでしょうか? 原則的には、「支払事務を取り扱う事務所等の所在地」が源泉所得税の納税地となります。この場合、「支払地」自体ではなく、「支払事務をどこで行っているか」が判断のポイントとなります。
◆「支払事務を取り扱う場所」とは?
次の事例は、国内源泉所得が「国内払い」で行われたものとして取り扱われます。
<事例1>
当社(内国法人)は、A国の外国法人から日本での特許使用許諾を受け、使用料を支払うこととなった。たまたま、役員がA国に出張するため、現地で支払った。
この場合、使用料の対価に源泉所得税(国内法では20.42%)が課され、支払事務(支払額の計算、支払資金の用意、支払の一連の手続)が国内で取り扱われたと考えます。源泉所得税の考え方では、この支払は「国内払い」と判定され、支払月の翌月10日までに徴収額を納付する必要があります。
◆「みなし国内払い」とは?
ただし、支払が「国外払い」であっても、「国内払い」とみなされる場合もあります。
<事例2>
当社(内国法人)は、B国の外国法人が有する日本所在の土地の譲渡を受けた。譲渡対価は、当社のB国支店が現地で開設した銀行口座から外国法人の口座へ送金した。
この場合、土地の譲渡対価に源泉所得税(国内法では10.21%)が課されますが、支払事務を取り扱う場所が国外(B国支店)にあり、日本国内には源泉所得税の納税地は存在しません。ただし、支払者(当社)が国内に事務所等を有する場合(この事例では当社の本店が日本)は、国内で支払うものとみなして源泉徴収を行うこととなります(みなし国内払い)。このときの納期限は、支払月の翌月末日となり、通常の国内払いの翌月10日より少し猶予があります(海外送金や円換算など事務負担を考慮)。
気を付けたい「為替差損益」~外貨預金を引き出して建物を買った場合~
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◆差損益は「外貨を円に換えた時」だけなの?
最近は、個人でもインターネットを利用して海外取引を行い、外貨で決済することが増えてきました。外貨建取引を行っている場合、確定申告の際に気を付けたいのが「為替差損益」の認識です。所得税は、所得の種類ごとの区分があり、それぞれに特有のルールが存在するため、ややこしい面があります。「為替差損益」は、外貨を日本円に換えた際に生ずるものだと思われがちですが、実はそういうケースに限りません。
◆外貨預金を引き出して建物を買った場合
例えば、外貨建の預金から外貨を払い出し、その外貨で資産を購入した場合でも、為替差損益の認識が必要な場合があります。
<事例>
(1) 米国内の貸付用建物を購入するために次の預金(米ドル建)の計15万ドルを払出した(払出時のレート@154円)
・預金A 10万ドル(預入時@146円)
・預金B 5万ドル(預入時@152円)
(2) 建物を12万ドルで購入した。(建物購入時のレート@156円)
3万ドルは米ドルのまま保有した。
この場合、所得税法では、外貨が新たな経済的価値がある資産(建物)に転換されるため、それまで評価差額にすぎなかった保有外国通貨(米ドル)の為替差損益が「収入すべき金額」として実現したと考えます。
具体的には、①購入した建物の購入額の円換算額と②購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートによる円換算額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要があります。
また、この事例では、複数の口座(預金Aと預金B)が異なる時期(異なる為替レート)で預け入れられていますので、平均レートを算出し、次のように計算します。
<為替差益の計算>
(1) 保有するドルの平均レート
(預金A 1,460万円+預金B 760万円)÷15万ドル=@148円
(2) 為替差益
(@156円-@148円)×12万ドル=96万円
◆建物の取得価額は購入時レート
購入した建物の取得価額は、購入時の為替レートによる円換算額を用います(この金額で減価償却費を計算します)。また、この建物を譲渡した場合の取得費も、この取得価額を基に計算することとなります。