名義預金の相続課税
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◆見落としやすい名義預金
遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
①預金の原資は、誰が出捐したか
②預金口座は誰が開設し預入れしたか
③預入者の意思はどのようなものであったか
④通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
国税庁の「誤りやすい事例 ⑥申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。
◆配偶者の名前で預金した場合
夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。
◆子や孫に財産を残すための意思表示
被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。
遺産分割で考慮すべき特別受益
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被相続人から生前贈与を受けていた場合、相続財産の分割だけでは課税の公平が保てないため、一定の配慮が行われます。
◆相続人の特別受益を相続財産に持ち戻す
相続人に遺贈または婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与がされた場合、これらは特別受益とされます。特別受益の額は相続時の価額で相続財産の価額に加算(持戻しといいます)し、民法に規定する相続分で按分した額から遺贈または贈与の額を控除した額が各相続人の相続分となります。
被相続人が持戻しの免除を意思表示したときは、その意思に従います。婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の遺贈または贈与、配偶者居住権の遺贈も持戻し免除の意思を表示したものと推定されます。
◆持戻しの対象となる贈与の範囲
子の結婚に際し、新生活を援助するためのまとまった金銭の贈与は特別受益に該当すると考えられます。生計の資本としての贈与は生活の基盤となる財産を指し、夫婦間の生活保持義務や親族間の扶養義務の範囲を超えるものは特別受益に該当します。子の学費は扶養義務の範囲であれば該当しませんが、住宅資金の贈与は非課税となるものであっても特別受益となります。
◆生命保険金の持戻しの扱い
相続で受け取る生命保険金は、相続人固有の財産とされ、原則、持戻しの対象となりません。ただし、生命保険契約が保険金を受け取った相続人に対する被相続人からの贈与と同視され、相続人間の公平さを著しく欠くとされた場合は、特別受益となることが裁判で示されています。
◆未分割のときは持ち戻して相続税額を計算
相続人に特別受益があったとき、これを持戻して相続税額を計算するのは、遺産分割協議が調わず、未分割となる場合です。遺産分割協議が調う場合は相続人間で任意に分割できます。
◆生前贈与加算と異なる加算期間
被相続人から生前贈与があった場合、相続開始前7年以内に贈与された財産の価額を相続財産の価額に加算して相続税額を計算します(生前贈与加算)。加算対象期間は令和5年度税制改正により、相続開始前7年以内となりました。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与により取得した財産について適用されます。
一方、特別受益については受益の時期にかかわらず、全ての期間に行われた贈与が持戻しの対象となります。