暦年贈与信託による生前贈与
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生前贈与は相続財産を減らせることに加え、子や孫の若い世代に相続前から財産を有効に活かしてもらうことができます。
◆生前贈与加算期間は7年以内に延長
暦年贈与は毎年110万円まで基礎控除を受けられます。令和6年1月1日以後の贈与について相続税の課税価格に加算される生前贈与は、相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与となりました。ただし、令和8年12月31日までの贈与の加算対象期間は3年間に据え置かれ、以後、毎年1年ずつ延長されて、令和13年1月1日の贈与から7年間となります。
また、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額について、総額100万円まで加算対象外となります。
◆暦年贈与信託を生前贈与に活用
暦年贈与に信託銀行が扱う暦年贈与信託を利用することもできます。贈与者は金銭信託で委託者兼受益者となり、信託銀行は受託者となって、毎年、贈与を受ける親族、贈与時期、贈与金額を決めると信託銀行が贈与の手続きを贈与者、受贈者に取り次いでくれます。贈与者はあらかじめ贈与したい複数の親族を候補者として選定しておき、普段は信託財産として運用益を受益者として享受し、贈与のときは、毎年、候補者の中から贈与したい相手の親族を選び、贈与したい金額を決めます。信託銀行は書面で贈与者と受贈者の意思の合致を確認した後、信託財産から贈与する金額を送金します。
贈与税は基礎控除額110万円を控除した額に課されます。信託銀行の取扱商品によっては、贈与者が受益者のまま贈与するもの、贈与時に受益者を受贈者に変更して贈与とするものもあるようです。
◆連年贈与、定額贈与には注意!
暦年贈与で毎年、定額の贈与を継続した場合、贈与額の合計額について課税リスクが生じます。国税庁は、例示として毎年100万円ずつ10年間の贈与があらかじめ当事者間で約束があり、贈与が定期金給付契約の締結によるものとされた場合、契約した年に贈与額全体について贈与税を課すとしています。暦年贈与信託では、毎年、受贈者を候補者から選定し、贈与の有無、贈与額を決めることができますが、贈与の際は贈与課税について注意が必要です。
また、贈与には子や孫に資産を早期に移転することで、その生活スタイルを贈与に依存させてしまう側面もあることにも留意しましょう。
名寄帳から始まる土地の調査
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相続の際、固定資産税課税明細書に記載の土地・建物が相続財産だと思っていたら、あとで思わぬ土地が出てきて戸惑うことがあります。
◆名寄帳で所有土地を確認
固定資産税課税明細書に記載がない土地は、固定資産税がかからない非課税の土地です。多くは私道や公衆用道路です。
非課税の土地の調査は、市区町村の資産税課などの窓口で名寄帳(固定資産課税台帳の土地・建物を所有者ごとに表示したもの)を取得することにより、相続のあった年の1月1日時点で登記されている被相続人名義の土地を確認することができます。
ただし、その年、1月1日より後に取得した土地は表示されません。また、他の市区町村にある土地も表示されません。もし、被相続人の居宅や貸金庫に覚えのない売買契約書や登記済証があれば、その地番を手掛かりに現在の登記名義人が誰かを確認することで相続財産となるかが判明します。既に譲渡済みの場合もあります。
◆利用価値のない土地の処分
非課税の宅地は、被相続人の所有する建物への通路として利用しているような場合を除き、財産上の価値はほとんど見込めず、相続では望まれない財産となることが多いと思われます。
そのような土地も相続人の誰かが引き継がなければなりません。しかし、相続人が共有で相続することは将来の処分を更に困難にしてしまうので、お勧めできません。そのような場合は隣地の地権者に買い取ってもらうか、隣地の地権者の所有土地と共同で売却するなどの方法を検討することになるものと思われます。
◆土地区画整理事業で道路に提供される場合
土地区画整理事業が施行中の地区において、公衆用道路として使用されている私道が換地処分後、市区町村に道路用地として譲渡される予定の場合、相続開始時は事業完了前のため、登記簿上、被相続人名義の土地のままとなっていることがあります。
このような土地には換地が定められず、換地不交付申出により、市区町村から交付される清算金は譲渡所得の対象となります。この場合、優良住宅地の造成等のために国等に土地等を譲渡する場合の長期譲渡所得の課税の特例が適用され、2,000万円以下の長期譲渡所得金額についての税率は、所得税10%、住民税4%(通常は所得税15%、住民税5%)に軽減されます。