相続税の連帯納付義務
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◆相続税の納税は相続人全員の連帯責任
遺産分割が終わり、申告書を提出して自身の相続税の納税は済んでいるのに、共同して申告した者に相続税の滞納が生じると、あなたにも滞納者の相続税の納付義務があると通知されることをご存知ですか?
相続税の扱いでは、各相続人等が相続や遺贈で取得した財産の価額から相続税額を控除した残額を相続人等の受けた利益として、その範囲内で各相続人等が相互に連帯して相続税を納付する義務を負っています。
例えば、兄弟3人の相続人で、次男が相続税を滞納すると、長男、三男には、自身の受けた利益の範囲内で次男の滞納相続税について納付義務が生じます。
◆連帯納付義務者に届く納付通知書
滞納している相続人が税務署から督促を受けた後、1か月経過すると、税務署は連帯納付義務者となる相続人、受遺者に、相続税が完納されていない旨のお知らせを送付します。その後、連帯納付義務者に納付を求める場合、連帯納付義務者に納付通知書を送付します。納付通知書には①相続税が完納されていない旨②相続人、受遺者には連帯納付義務がある旨③その相続に係る被相続人の氏名等が記載されています。
◆未納の連帯納付義務者に督促状を送付
連帯納付義務者が納付通知を受けた後、2か月以内に完納されない場合は、連帯納付義務者に督促状が送付されます。
なお、申告期限から5年以内に通知がない場合、相続人が延納や納税猶予を受けている場合は、連帯納付義務は生じません。納付されるまでの間、連帯納付義務者には利子税が課されます。
◆相続人に連帯納付義務を課す理由
相続税は、相続財産の総額に課税され、これを相続人、受遺者が取得した財産の価額に応じて各人の納付税額が算定されます。
税務署が財産を取得した全ての相続人、受遺者に連帯納付義務を課すのは、徴収漏れを防ぐことにあります。実務と異なりますが、遺産分割の前に相続税を先に納付し、残った財産を遺産分割すると考えれば、連帯納付義務に納得しやすいかもしれません。
◆遺産分割協議は納税義務を含めて合意する
相続財産のうちに売却困難な不動産があるときは、相続税の納税資金を確保できるよう事前に検討しておくことが大事です。また、遺産分割の際は、相互に相続税の連帯納付義務があることを合意しておくことが必要と言えそうです。
退職年金の継続受給権に対する相続課税
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◆退職年金は、みなし相続財産として課税
退職年金を受給していた被相続人が死亡すると、残存期間の年金が相続人等に支払われます。年金は相続人等が固有の権利として取得したものですが、相続により取得したものとみなして相続税が課税されます。
◆継続受給権の財産評価
退職年金の継続受給権は、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、みなし相続財産に分類されます。
相続人等が死亡するまで(相続人等が保証期間中に死亡した場合は保証期間が終了するまで)年金を継続受給する場合、受給権の評価額は、有期定期金、または終身定期金として算出した金額のいずれか多い金額とされます。
◆遺族年金の相続税は非課税
ところで厚生年金、国民年金等の遺族年金は、厚生年金保険法、国民年金保険法など個別の法律によって受給者が被相続人に生計を維持されていたことを条件に非課税とする取扱いが定められています。
一方、相続税の非課税財産の規定には、遺族年金を非課税とする旨の扱いはありません。その代わり、相続税法基本通達には遺族年金について、国民年金保険法、厚生年金保険法など個別法により相続税が課税されないことに留意するよう示されています。みなし相続財産であれば、契約に基づかない定期金に関する権利として課税されるのが原則です。
◆米国遺族年金は相続税が課税される
それでは遺族年金に相続税を課税しない取扱いは、外国の遺族年金にも適用されるのでしょうか。米国遺族年金について相続税が課税されるか争われた事例があります。
国税不服審判所の審判事例では、遺族年金が非課税となる取扱いは、個別法で国民年金、厚生年金等に設けられたものであり、米国の遺族年金をみなし相続財産として課税する取扱いを妥当とする裁決が出されています。
令和8年2月には、地裁においても米国遺族年金の受給権について相続税の課税処分を妥当とする判決が出されました。
◆課税の公平は守られているか?
司法判断は外国の遺族年金への課税は「合理性を欠くということはできない」として平等原則に違反しない旨を判示しました。しかし、遺族にとって国内の年金、海外の年金を問わず、生計維持のための経済的価値は変わらないとみることもできます。