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事務所だより

◆事務所だより 11月号◆

被相続人の家屋が未登記の場合 -相続空き家の特例-
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◆空き家の特例は旧耐震の建物解消が目的
 相続空き家の特例は、相続等で取得した被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を売却した場合、一定の要件を満たすときは、譲渡所得金額から3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人2,000万円)までを控除できる制度です。
 この特例は、昭和56年5月31日以前に建築された「旧耐震基準」の建物の約半数は耐震性がないものと推計されることから生活環境の悪化を防ぐため、相続人の売却の際、譲渡所得に課税上の優遇措置を設けて空き家の解消を図ろうとするものです。
 したがって、この特例を利用しようとする相続人は、被相続人の居住用家屋が「旧耐震基準」の時期に建築されていたことを証明しなければなりません。しかし、その居住用家屋が未登記であった場合には登記事項証明書が存在しないため、代替的な書類の取得が必要になります。

◆未登記の被相続人居住用家屋の代替書類
 未登記の建物に相続空き家の特例の適用を受けようとする場合、確定申告書に添付する書類は、譲渡所得金額の計算明細書に加え、次の書類で代替させます。
<要件1.被相続人から相続等によって取得したものであること>
 遺産分割協議書の記載内容から被相続人の建物を取得したことが確認できます。
<要件2.昭和56年5月31日以前に建築されたこと>
 建物の建築確認済証、検査済証、建築請負契約書で建築年月を確認できます。
<要件3.区分所有建物登記がされている建物でないこと>
 固定資産税の課税明細書、評価証明書、固定資産課税台帳に区分所有建物の記載がないことで確認できます。

◆「被相続人居住用家屋等確認書」の添付
 この他、相続開始直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったことを証明するため、建物が所在する市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、申告書に添付する必要があります。
 未登記の建物であっても被相続人がそこで暮らしていたことを証明しなければなりません。建物を除却する場合も登記のある建物と同様、除却工事の請負契約書、取壊し後、更地の日付入り写真を提出します。意外に準備に苦労するのが電気・ガス等の使用中止日を確認できる書類です。早めに対応して漏れがないようにしましょう。






相続税の債務控除-『確実な債務』
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 相続税の申告では被相続人の債務は相続財産から控除されます。この場合、控除される債務は「確実な債務」に限るとされています。被相続人の借入金は控除される債務の代表例ですが、その債務が相続の後に債務免除の対象となっていた場合、債務控除できるのでしょうか。

◆確実な債務の要件
 債務控除を受けるためには、債務が存在していること、及び債権者より債務弁済の履行が義務づけられていることが要件とされており、この要件を満たす債務を「確実な債務」と呼んでいます。

◆債務免除は担税力を減殺しない
 相続税は財産を取得した相続人に担税力を認めて課税されます。また、被相続人の借入金は相続財産から弁済して担税力が減殺されるので遺産総額から債務額を控除することになります。しかし、その債務が免除されることが確実とされる場合、担税力は減殺されないので債務控除は認められないことになります。

◆債務免除に停止条件がある場合
 被相続人の借入金のうち一定金額を期日までに弁済すれば、残額は弁済を免除する停止条件が借入契約に付されていた場合、その成就がほぼ確実であると見込まれるときは債務控除を認めない判例があります。
 しかし、被相続人の死亡時に債務免除に必要な弁済が未達であれば、相続人に弁済の履行義務はあるので、残債務は「確実な債務」と言えるのではないでしょうか。

◆債務免除は確実な債務でないとされた裁判
 実際の裁判事例です。相続人は被相続人の16億円の借入債務を引き継ぎ、銀行との和解による債務免除に必要な金額を弁済して残額約9億円の免除を受けました。そして相続税の申告では相続開始時に債務免除を受けることは確実であったとして約9億円の残債務について債務控除せず、増加した純資産額に対する相続税を負担しました。ところが債務免除益にも所得税が課税されて二重課税となったため、相続人は所得税の非課税を求めて訴訟を起こしました。
 一審、二審では相続人の資産状況から債務免除に必要な分割金は優に支払うことができ、残債務9億円は「確実な債務」でなかったとされました。しかし、相続人が仮に相続時に停止条件が成就していなかったことを理由に債務免除部分の債務を「確実な債務」として申告していた場合、裁判は同じ展開になったのか疑問が残ります。

2025年11月4日更新
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