松岡国際税務会計事務所-神奈川県藤沢市-
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信託の活用法(3)-受益者の定めのない目的信託
先日ノーベル化学賞を受賞した北大の鈴木章名誉教授が、そのインタビューにおいて受賞理由となったパラジウム触媒によるクロスカップリングと呼ばれる炭素結合の発見を、敢えて特許を取らずに世界で自由に使用して普及に努めたと述べられていました。社会の要望として特許権、コンピュータ・プログラムや著作権のように、それによって保護されている技術が広く利用され人々の役にたてると同時に、その権利を放棄せずに維持しておきたいという時に、受益者を特定しない目的信託を設定することが、新信託法(258条1項)において認められることとなりました。
従来、我が国の信託法の解釈においては、受益者のいない信託を認めると誰も処分できない財産を作りだすことから、歴史的に保存すべき建造物や自然環境に限るとするのが定説でした。ところが、上記のような例や、相続人がいない者が自己の死亡後に慈善目的で管理すべき財産がある場合や、資産流動化において資産の受け皿を倒産リスクから守る必要など、社会のニーズが変遷してきた経緯があります。
しかし、信託税制上は受益者課税を原則とするので、受益者の定めのない目的信託においては、例外的に信託段階において受託者を納税義務者として法人税、相続税等が課されるので注意を要します。つまり、受益者等が存在しない目的信託については、受託者を納税義務者として、その信託財産の価額を受贈益として、また信託財産に係る所得について法人税が課税されます。
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