給与所得控除の改正は、基礎控除の改正や特定親族特別控除の創設と並び、令和7年度税制改正における所得税の見直しの一環として実施されました。
改正の趣旨
• 物価上昇と就業調整対策:物価上昇局面における税負担の調整、および就業調整対策の観点から実施されました。
• 最低保障額の構造的課題:給与所得控除は、給与収入に対する割合に基づいて計算されますが、最低保障額が適用される収入帯では、収入が増加しても控除額は増えない構造となっており、これに対する物価上昇への対応と就業調整対策の観点から、最低保障額の引き上げが行われました。
改正の内容
• 最低保障額の引き上げ:給与所得控除の最低保障額が、55万円から65万円へ、10万円引き上げられました。
給与等の収入金額
改正前(旧所法28③)の控除額
改正後(令和7年分以後)の控除額
190万円以下
162.5万円以下:55万円
65万円
190万円超360万円以下
180万円超360万円以下:収入金額×30% + 8万円
収入金額×30% + 8万円
850万円超
195万円(上限)
195万円(上限)
• 給与所得控除後の金額の表の改正:この改正に伴い、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」(所法別表5)が改められています。
• 源泉徴収税額表等の改正:その他、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表など)や関連する告示の改正が行われています。これらは、基礎控除の改正や特定親族特別控除の創設に伴う改正と併せて行われています。
適用開始時期
• 給与所得控除の改正は、令和7年分以後の所得税等について適用されます。令和6年分以前の所得税等については従前どおりです。
• 改正法は令和7年12月1日に施行されます。
• 令和7年分の所得税について、改正後の制度の適用により異動が生じたにもかかわらず、同年12月1日より前に確定申告書を提出等していた者は、同日から5年以内に税務署長に対し更正の請求をすることができます。
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<給与所得控除の最低保障額引き上げのイメージ>
今回の改正は、給与所得控除の「土台」を10万円引き上げることで、特に低収入層や短期間で高収入を得る学生アルバイトなど(就業調整をしている層)の実質的な税負担を軽減し、より働きやすくすることを目指した調整と言えます。これは、物価上昇による実質的な負担増加(実質所得の低下)を補い、労働へのインセンティブを高めるための措置です。