1. 創設の趣旨
◦ 現下の厳しい人手不足の状況において、大学生のアルバイトの就業調整が税制によって引き起こされているとの指摘に対処するため創設されました。
◦ 大学生年代の子など(19歳から22歳まで)の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親などが特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられるようにするものです。
◦ また、大学生年代の子などの合計所得金額が85万円を超えた場合でも、親などが受けられる控除額が段階的に逓減する仕組みとなっています。
2. 制度の概要
◦ 特定親族を有する居住者は、特定親族特別控除として、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額、または山林所得金額から控除を受けることができます。
◦ 控除額は、特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて定められています。
3. 特定親族の定義
◦ 「特定親族」とは、以下の要件をすべて満たす者を指します。
▪ 生計を一にする親族であること。
▪ 年齢が19歳以上23歳未満であること(大学生年代に相当)。
▪ その居住者の配偶者ではないこと。
▪ 児童福祉法の規定により里親に委託された児童を含む。
▪ 青色事業専従者または白色事業専従者に該当しないこと。
▪ 合計所得金額が123万円以下であること。
▪ 控除対象扶養親族に該当しないこと。
4. 控除額の段階的な逓減
特定親族の合計所得金額に応じて、控除額は以下の通り段階的に設定されています。63万円~3万円
* *注釈:*合計所得金額が58万円以下の場合、その親族は扶養親族の所得要件(改正後58万円以下 )を満たし、特定扶養親族として従来の特定扶養控除(63万円)の対象となります(特定親族特別控除は控除対象扶養親族に該当しない者が対象)。合計所得金額が123万円を超えると控除は適用されません 。
5. 特定親族の判定時期
◦ 特定親族に該当するかどうかの判定は、その年の12月31日の現況によることとされています。ただし、年の中途で死亡または出国した場合は、その時点の現況によります。
6. 源泉徴収および年末調整における取り扱い
◦ 源泉控除対象親族の創設(月々の給与計算)
▪ 主たる給与等に係る源泉徴収税額の計算にあたっては、従来の「控除対象扶養親族」に代わり「源泉控除対象親族」を数にカウントして税額計算が行われます。
▪ 「源泉控除対象親族」には、従来の控除対象扶養親族に加え、特定親族のうち合計所得金額が100万円以下である者が含まれます。
▪ 合計所得金額が100万円以下に限定されているのは、特定親族特別控除の控除額が38万円以上となる特定親族を対象としているためです。
▪ 公的年金等に係る源泉徴収についても、同様に「源泉控除対象親族」が用いられますが、この場合の源泉控除対象親族は合計所得金額の見積額が85万円以下の者に限られます。
◦ 年末調整における適用
▪ 特定親族特別控除は、年末調整において適用することができます。
▪ 適用を受けるためには、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を給与等の支払者に提出する必要があります。
7. 適用開始時期
◦ 特定親族特別控除の創設は、令和7年分以後の所得税について適用されます。
◦ 給与等に係る源泉徴収の改正(源泉控除対象親族の導入など)は、原則として令和8年1月1日以後に支払うべき給与等について適用されます。
◦ 年末調整における適用については、令和7年中に支払うべき給与等のうち、その最後に支払をする日が同年12月1日以後であるものについて適用されます。
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【特定親族特別控除のイメージ】 この制度は、税制上の「壁」となっている特定の所得水準を超えても、親の控除額が急激に失われるのを防ぐための、特に大学生などのアルバイト収入が一定額を超えた場合に、税負担を理由とした就業調整が行われるのを緩和する効果が期待されています。
• 例えば、大学生の子の給与収入が130万円(合計所得金額75万円)を超えた場合でも、親は控除額63万円を維持でき、その後、収入が増加し合計所得金額が85万円を超えても、段階的に控除額が減少し、最終的に合計所得金額123万円超(給与収入188万円超)で控除がゼロになります。