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(8年度改正)食事支給に係る所得税非課税限度額の引き上げ

令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、従業員への食事支給に係る所得税の非課税限度額が、現行の月額3,500円から7,500円へと大幅に引き上げられることが明記されました。
この改正は、1984年(昭和59年)に現在の限度額が設定されて以来、約40年ぶりの見直しとなります。以下に、この改正の主要なポイントを整理して解説します。

1. 改正の概要と背景
昨今の物価高騰や外食・中食価格の上昇を受け、長らく据え置かれてきた現行の限度額(月額3,500円、1日20日勤務換算で1日あたり約175円)は、実態にそぐわなくなっていました。今回の改正により、非課税枠が2倍以上に拡大されることで、企業はより実効性のある食事補助を提供できるようになります。

• 会社負担の非課税限度額:月額3,500円 → 7,500円(案)
• 深夜勤務者への夜食(現金支給)の上限:1回300円 → 650円(案)

2. 非課税適用のための必須要件
限度額が引き上げられた後も、所得税を非課税とするための以下の2つの基本ルールは維持される見込みです。

(1) 従業員負担の要件: 従業員が、食事の価額の50%以上を負担していること。
(2) 会社負担の要件: (食事の価額)-(従業員負担額)が、改定後の限度額(月額7,500円)以下であること。
【注意点】 これらの要件を満たさない場合、会社負担額の「超過分」だけでなく、会社負担額の「全額」が給与として課税対象となるため、実務上の厳密な管理が求められます。

3. 「第3の賃上げ」としてのメリット
この制度改正は、企業と従業員の双方にとって「実質的な賃上げ」効果をもたらすことから、**「第3の賃上げ」**として注目されています。

• 従業員のメリット: 補助額が全額非課税となるため、通常の給与アップ(ベア)と異なり、所得税・住民税・社会保険料が引かれることなく、補助の価値をそのまま手取りとして享受できます。
• 企業のメリット: 食事補助は福利厚生費として処理され、社会保険料の算定基礎からも外れるため、社会保険料の会社負担増を抑えながら、従業員への還元を強化できます。

4. 実務上の留意事項
非課税メリットを確実に受けるためには、以下の運用が必要です。

• 現金支給の回避: 使い道が自由な現金(ランチ手当など)として支給すると、原則として全額が給与課税されます。非課税を適用するには、**社員食堂の提供、仕出し弁当の配布、または「チケットレストラン」等の食事補助サービス(食事券や電子カード)**の利用が推奨されます。
• 証憑の保管: 食事の価額を証明できる請求書や、材料費・直接費の根拠資料を適切に保存しておく必要があります。
• 規程の整備: 制度導入や限度額の引き上げに合わせて、就業規則や福利厚生規定の見直し・改訂が必要になります。

5. 適用時期について
この改正案は2025年12月に決定された税制改正大綱に基づくものであり、今後は国会審議等を経て、2026年(令和8年)4月以降の施行が見込まれています。
企業にとっては、物価高対策や人材確保(採用力強化)の観点から、この大幅な枠拡大を活かした新しい福利厚生戦略を検討する好機となります。
2026年2月17日更新
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税理士岩下会計事務所(赤鬼天狗)