資本金等の額減少で均等割節税
◆法人住民税の均等割
法人道府県民税の均等割税は資本金等の額の5区分、法人市町村民税の均等割税は資本金等の額の5区分と従業員の数の2区分とによって決められています。所得の有無に関係なく、赤字でも負担しなければなりません。資本金等の額1000万円以下、従業員数50人以下の分類区分が税負担の最少区分です。
◆減資で均等割節税への試み
ところで、この税負担の軽減を企図して資本金の減少手続きをする場合があります。でも、資本金を減らしただけでは均等割税の軽減はできません。減資資本金は資本剰余金の額に振り替わるだけで、資本金等の額の総額に影響しないからです。
資本金等の額は税法上の概念で、株式発行や組織再編で受け入れた出資額の内、資本金とした金額とそれ以外の金額の合計とされており、会計上の「資本金+資本剰余金」に近い概念です。
◆資本金等の額の減少への税の抵抗
なお、資本金等の額を実際に減らそうとして有償減資や資本剰余金の配当をしたとしても、資本金等の額が直ちに減少するとは限りません。税務的には、「資本金等の額×資本剰余金減少額÷簿価純資産額=減少資本金等の額」の算式で計算されることになっているからで、簿価純資産の中に利益剰余金がある限り資本剰余金の減少を直ちに資本金等の額の減少にすることはできません。
例えば、資本金2000万円、資本剰余金0円 利益剰余金1000万円の会社が資本金等の額を1000万円にするには、有償減資1500万円しなければなりません。そうすると、資本金等の額1000万円(うち資本金500万円)、利益積立金500万円となります。
◆税の抵抗を受けない方法
しかし、資本剰余金の減少を直ちに資本金等の額の減少にする方法はあります。自己株式の取得です。自己株式の取得は税法上は資本金等の額を減少する行為とされているからです。
でも、「資本金+資本剰余金」が資本金等の額を超えていたら法人住民税均等割の税率区分の基準は資本金等の額ではなく「資本金+資本剰余金」の額とする(平成27年以後)とされているので、自己株式の取得だけでなく、「資本金+資本剰余金」と自己株式を相殺して消却処理をするというもう一つの手間が必要になります。
事務所だより令和7年7月号②より抜粋
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賃上げ促進税制に見る繰越控除制度の優遇
◆賃上げ促進税制の税額控除
中小企業者が適用を受ける賃上げ促進税制での税額控除額は、調整前法人税額の20%を限度とするとされていますが、その控除限度額の超過額はその期で失効せず、その後5年間の繰越控除が認められています。
なお、税額控除制度のほとんどはその年度で打切りですが、いくつかの制度には繰越控除が認められているものがあり、1年繰越、3年繰越、4年繰越がそれぞれ可能となっています。
でも、賃上げ促進税制の5年は最長です。ただし、翌期に法人税額があれば控除可能である他の制度と異なり、賃上げ促進税制には、繰越控除を適用する各年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えていなければ、控除は認められない、という追加要件が課されています。控除の権利は保持できても、実際に控除するには継続的な賃上げが不可欠だということです。
◆色んな税額控除があったら
ところで、複数の税額控除制度を適用できる場合がありますが、そういう場合、調整前法人税額の20%という部分は、重複して適用を受けられます。ただし、20%範囲内の税額控除が幾つもあった場合、その合計額については、調整前法人税額の90%を限度とするとの制限規定があります。
この上限額が適用となる場合においては、いずれかの制度の20%範囲内税額控除が、20%未満の税額控除になってしまうことになります。税額控除が20%未満になってしまうことにより、控除限度超過額がより大きな金額として残ることになります。
税額控除限度超過額繰越額を構成する金額は、まず残りの控除可能期間の長いものに配賦し、次に控除可能期間が同じものについては、法人の選択により配賦することとされています。
◆毎年の明細添付を怠りなく
なお、この繰越税額控除の適用を受けるためには、税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書の添付をし、繰越控除の適用を受ける事業年度の確定申告書に控除の対象となる繰越税額控除限度超過額、控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
事務所だより令和7年12月号②より抜粋
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