兼子税理士・社労士事務所
経営に関わる全てを総合的にサポートいたします。
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案内板
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業務案内・略歴 2022年12月16日
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料金体系 2015年4月16日
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パートナーとしての将棋 2024年4月3日
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令和5年分確定申告を終えて 2024年3月15日
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謹賀新年2024年の抱負 2023年12月31日
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資格試験受験後の苦闘 2023年10月6日
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趣味の将棋 売り手負担の振込手数料 2023年9月16日
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お客様と共に歩む相続遺言業務 2023年7月29日
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東北税理士会からの表彰状 2023年7月6日
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新NISA活用について 2023年6月1日
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士業従事26年 2023年5月3日
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2度の転職と「一歩後退二歩前進」 2022年12月16日
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温泉王国山形と年末調整・確定申告準備中 2022年11月28日
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インボイス導入の経緯と実務 2022年11月1日
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趣味の効用 残業代が変わる 2022年7月30日
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相続検定2級を受験して 2022年5月5日
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職業生活の分岐点・所得拡大促進税制 2015年7月12日
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利益とはなんだろう 2015年2月13日
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税理士と社会保険労務士 2015年2月12日
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お役立ち情報
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来月の税務 2023年10月7日
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今月の税務 2023年10月7日
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預貯金 金利計算ツール 2023年1月4日
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各種お祝い 2023年1月2日
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医療費控除Q&A 2022年12月31日
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相続税・贈与税速算表 2022年12月21日
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年齢計算ツール 2022年12月19日
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事例別非課税ライン一覧 2022年12月30日
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登録免許税の税額表 2022年12月11日
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厚生年金保険料率表 2022年12月5日
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年齢早見表 2022年11月3日
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雇用保険料率表 2022年11月3日
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全国最低賃金一覧表 2022年11月3日
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郵便料金表 2022年8月9日
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文書の保存期間 2022年3月28日
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印紙税 2021年3月11日
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青色申告決算書における勘定科目解説 2020年3月4日
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23年12月事務所移転 2015年3月1日
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消費税課否判定集 2015年3月1日
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ニュース
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通勤手当の税と社会保険 2023年12月5日
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インボイス制度と独禁・下請・建設業法 2023年8月9日
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《コラム》税務行政のDXは順調?令和4年分確定申告状況 2023年8月1日
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インボイス制度 免税事業者の選択と経過措置 2023年1月11日
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《コラム》受取配当等益金不算入制度の新別表の変更点 2023年1月6日
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《コラム》通勤手当を廃止して実費精算にした場合の給与計算 2023年1月6日
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個別労働紛争解決制度の施行状況 2016年7月28日
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住宅ローン繰上げ返済 相続の視点からは考え物 2016年7月20日
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28年の寿命だった法人利子割 ・65歳からの介護保険料 2016年4月7日
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社労士のアドバイス・65歳以降退職の雇用給付・ふるさと納税調整月 2015年12月22日
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特定行政書士合否通知・日本のパスポート・相続対策の有無 2015年12月13日
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64歳のあなたへ・決算すっきりシート・相続で取得した資産 2015年11月12日
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小規模企業共済・小規模事業所のマイナンバー簡便な収集と保管 2015年11月6日
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国保税か任意継続か・空き家の税制 2015年11月4日
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遺産分割協議・実子と養子(民法と相続税) 2015年10月7日
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相続は相(すがた)・遺族厚生年金 2015年8月26日
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税務の扶養・社会保険の被扶養 具体事例 2015年6月11日
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リンク集
ニュース
通勤手当の税と社会保険
◎通勤手当の税と社会保険
◆通勤手当と所得税
給与所得者に支給する通勤手当については、非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。
非課税限度額は
●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:1か月最高150,000円
●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:片道55キロ以上1か月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満1か月最高4,200円
●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:1か月最高150,000円
等となっています。なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は全額課税となります。
規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、超過分は給与として課税されます。
◆通勤手当と社会保険料
通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することになっています。
所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」という考え方で、社会保険料は「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので計算に入れる」という考え方の違いのようです。
◆通勤手当とインボイス
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。ただ、社員に支給する通勤手当については、社員が適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができません。そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められています。
また、この「通常必要と認められる部分」については、所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。
◎M&A後の適格合併と欠損金
◆適格でも欠損金引継ぎは別の基準
適格組織再編成を行った場合であっても、繰越欠損金を利用した租税回避を防止するため、欠損金の引継制限が課される場合があり、要注意です。
例えば適格合併であっても、以下のうち最も遅い日から支配関係が継続していると認められない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されます。
①合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日
②被合併法人の設立の日
③合併法人の設立の日
◆繰越欠損金利用制限の趣旨と許容基準
繰越欠損金を有するペーパーカンパニーをM&Aなどで取得し、その欠損法人取得による支配開始の日から5年以内に合併等の適格組織再編成を行って繰越欠損金を取り込むような場合での欠損金の利用に制限を課そうというのが制度の趣旨です。
ただし、次の要件を満たせば許容です。
①事業関連性要件、②事業規模要件、③被合併法人事業規模継続要件、④合併法人事業規模継続要件、⑤役員要件
これは、みなし共同事業要件というもので、①~④を満たす場合、又は①及び⑤を満たす場合は、繰越欠損金の利用に制限を課されません。
◆支配継続と5年基準の適用例
ところで、個人甲の100%支配の下で設立されていた兄弟会社ABを、乙会社が甲からM&A等での株式取得で自己の100%支配の関係に変えた後、AB会社の合併が企図された場合で、M&A前に個人甲への多額の退職金がA社から支払われた為にA社には多額の欠損金がある、という場合の欠損金引継ぎ制限はどうなるでしょうか。
A社とB社との間には、両社の設立以後、甲(一の者)による100%支配下での当事者間の相互の関係があり、M&A後は、乙社(一の者)による100%支配下での当事者間の相互の関係があることとなります。
甲とABとの支配関係が乙とABの支配関係に変わり、支配関係の継続はありませんが、一の者の支配下でのAB社間の相互の関係が継続していることに変わりはありませんので、AB社間には、会社設立以後継続して一の者との間での当事者間の相互関係があるということになり、この場合にはみなし共同事業要件不充足でも、繰越欠損金の引継制限は課されません。
◆通勤手当と所得税
給与所得者に支給する通勤手当については、非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。
非課税限度額は
●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:1か月最高150,000円
●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:片道55キロ以上1か月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満1か月最高4,200円
●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:1か月最高150,000円
等となっています。なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は全額課税となります。
規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、超過分は給与として課税されます。
◆通勤手当と社会保険料
通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することになっています。
所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」という考え方で、社会保険料は「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので計算に入れる」という考え方の違いのようです。
◆通勤手当とインボイス
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。ただ、社員に支給する通勤手当については、社員が適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができません。そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められています。
また、この「通常必要と認められる部分」については、所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。
◎M&A後の適格合併と欠損金
◆適格でも欠損金引継ぎは別の基準
適格組織再編成を行った場合であっても、繰越欠損金を利用した租税回避を防止するため、欠損金の引継制限が課される場合があり、要注意です。
例えば適格合併であっても、以下のうち最も遅い日から支配関係が継続していると認められない場合には、繰越欠損金の引継制限が課されます。
①合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日
②被合併法人の設立の日
③合併法人の設立の日
◆繰越欠損金利用制限の趣旨と許容基準
繰越欠損金を有するペーパーカンパニーをM&Aなどで取得し、その欠損法人取得による支配開始の日から5年以内に合併等の適格組織再編成を行って繰越欠損金を取り込むような場合での欠損金の利用に制限を課そうというのが制度の趣旨です。
ただし、次の要件を満たせば許容です。
①事業関連性要件、②事業規模要件、③被合併法人事業規模継続要件、④合併法人事業規模継続要件、⑤役員要件
これは、みなし共同事業要件というもので、①~④を満たす場合、又は①及び⑤を満たす場合は、繰越欠損金の利用に制限を課されません。
◆支配継続と5年基準の適用例
ところで、個人甲の100%支配の下で設立されていた兄弟会社ABを、乙会社が甲からM&A等での株式取得で自己の100%支配の関係に変えた後、AB会社の合併が企図された場合で、M&A前に個人甲への多額の退職金がA社から支払われた為にA社には多額の欠損金がある、という場合の欠損金引継ぎ制限はどうなるでしょうか。
A社とB社との間には、両社の設立以後、甲(一の者)による100%支配下での当事者間の相互の関係があり、M&A後は、乙社(一の者)による100%支配下での当事者間の相互の関係があることとなります。
甲とABとの支配関係が乙とABの支配関係に変わり、支配関係の継続はありませんが、一の者の支配下でのAB社間の相互の関係が継続していることに変わりはありませんので、AB社間には、会社設立以後継続して一の者との間での当事者間の相互関係があるということになり、この場合にはみなし共同事業要件不充足でも、繰越欠損金の引継制限は課されません。
◎賃上げ実現と取引の適正化
◆価格転嫁が困難な理由
中小企業が取引先に対して、労務費や原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に転嫁できないという問題が生じています。適切な価格転嫁ができない理由には様々なものがあるでしょうが、一つには中小企業と取引先との関係性(力関係)に起因していることが挙げられます。
ある中小企業において、その取引先との取引継続が困難になると、自社の経営に大きな影響を及ぼすことになると考えた場合、取引先からコストの上昇分を価格に反映せず、従前の取引価格に据え置くことを求められたとしても、今後の取引継続を第一に考えて、これを受け入れざるを得ないということもあります。又は、中小企業自身から今後の取引継続を求めるため、コスト上昇分の価格転嫁を控え、従前の取引価格を取引先に提案することもあり得ます。
いずれの場合でも、これを放置すれば価格転嫁ができないことによる原資の不足から、中小企業における賃上げの実現も困難になります。
◆取引適正化についての政府の考え
このように中小企業が、取引先に対して適正な価格転嫁ができない要因を法律的な側面から見た場合には、独占禁止法(以下「独禁法」)や下請法の問題と捉えることができます。政府は、中小企業が取引先に対して、適切な価格転嫁を行い、賃上げの原資を確保することができるように、独禁法や下請法の執行を強化しています。
また、政府は「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を策定して、政府全体で転嫁対策に取り組んでいくことを公表しています。具体的な例として政府は、価格転嫁対策について独禁法と下請法の執行強化のほか、労働基準監督機関(都道府県労働局及び労働基準監督署)における対応として、最低賃金や賃金・残業代の不払いが疑われる事業場に対して、上記機関が監督指導を実施して是正を図るとしています。これは、適正な価格転嫁ができないことの皺寄せが、末端の労働者に及ぶのを防ぐことを目的としていると思われます。なお、これらの施策では、中小企業にも政府の取組みなどを理解しつつ、適正な価格転嫁の実現、ひいては賃上げの実現に向けた努力が求められます。
◎親子会社間での配当源泉不要
◆非上場株式の配当に係る源泉税
親法人が受取る子法人からの配当等は所得税の課税対象であり、配当等の支払いをする子法人は、配当等の支払時にその配当等の額の20.42%(所得税及び復興特別所得税、子法人が上場株式発行企業の場合は15.315%)の源泉徴収をしなければなりません。その後、親法人が法人税の確定申告をする時に、源泉徴収された所得税について所得税額控除の適用を受けると、税額控除又は還付金の支払いがされます。
◆10月1日からの新制度
この配当源泉徴収の取扱いについて、完全子法人株式等(持分割合100%)と関連法人株式等(持分割合3分の1超)に該当する法人からの配当等については、源泉徴収を不要とするとの法律・政令が今年(2023年)10月1日に施行されます。
◆配当での新規定の利便点
なお、M&Aなどでの株式取得の場合で、株式取得から配当までの期間が短い時、持分割合100%の子法人からの配当であったとしても、上記特例の完全子法人株式等からの配当に該当しないことがあります。
受取配当等の益金不算入の規定を踏まえて、配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで(1年超の場合は1年)の期間、引き続きその持分割合100%の株式を継続保有していることが必要との要件が付されているからです。
ただし、関連法人株式等についての判定では、受取配当等の益金不算入の規定の6ヶ月間継続保有規定と異なり、配当支払者側での実務上の処理可能性への便宜的配慮として、配当等の額に係る基準日の状況で判定とされています。従って、完全子法人株式等に該当しなかったとしても、配当基準日の持株割合で関連法人株式等に該当すれば、結果的に源泉徴収不要にはなってしまいます。
それから、100%や3分の1超の持分割合の判定は、受取配当等の益金不算入の規定が間接支配を経由したみなし直接支配で判定することにしているのと異なり、配当支払法人にとって直接100%や3分の1超の関係になっているかで判定するものとされています。
支払配当の源泉徴収の要・不要の要点が実務処理への便宜の配慮に置かれていることが、推測されます。
◆価格転嫁が困難な理由
中小企業が取引先に対して、労務費や原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に転嫁できないという問題が生じています。適切な価格転嫁ができない理由には様々なものがあるでしょうが、一つには中小企業と取引先との関係性(力関係)に起因していることが挙げられます。
ある中小企業において、その取引先との取引継続が困難になると、自社の経営に大きな影響を及ぼすことになると考えた場合、取引先からコストの上昇分を価格に反映せず、従前の取引価格に据え置くことを求められたとしても、今後の取引継続を第一に考えて、これを受け入れざるを得ないということもあります。又は、中小企業自身から今後の取引継続を求めるため、コスト上昇分の価格転嫁を控え、従前の取引価格を取引先に提案することもあり得ます。
いずれの場合でも、これを放置すれば価格転嫁ができないことによる原資の不足から、中小企業における賃上げの実現も困難になります。
◆取引適正化についての政府の考え
このように中小企業が、取引先に対して適正な価格転嫁ができない要因を法律的な側面から見た場合には、独占禁止法(以下「独禁法」)や下請法の問題と捉えることができます。政府は、中小企業が取引先に対して、適切な価格転嫁を行い、賃上げの原資を確保することができるように、独禁法や下請法の執行を強化しています。
また、政府は「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を策定して、政府全体で転嫁対策に取り組んでいくことを公表しています。具体的な例として政府は、価格転嫁対策について独禁法と下請法の執行強化のほか、労働基準監督機関(都道府県労働局及び労働基準監督署)における対応として、最低賃金や賃金・残業代の不払いが疑われる事業場に対して、上記機関が監督指導を実施して是正を図るとしています。これは、適正な価格転嫁ができないことの皺寄せが、末端の労働者に及ぶのを防ぐことを目的としていると思われます。なお、これらの施策では、中小企業にも政府の取組みなどを理解しつつ、適正な価格転嫁の実現、ひいては賃上げの実現に向けた努力が求められます。
◎親子会社間での配当源泉不要
◆非上場株式の配当に係る源泉税
親法人が受取る子法人からの配当等は所得税の課税対象であり、配当等の支払いをする子法人は、配当等の支払時にその配当等の額の20.42%(所得税及び復興特別所得税、子法人が上場株式発行企業の場合は15.315%)の源泉徴収をしなければなりません。その後、親法人が法人税の確定申告をする時に、源泉徴収された所得税について所得税額控除の適用を受けると、税額控除又は還付金の支払いがされます。
◆10月1日からの新制度
この配当源泉徴収の取扱いについて、完全子法人株式等(持分割合100%)と関連法人株式等(持分割合3分の1超)に該当する法人からの配当等については、源泉徴収を不要とするとの法律・政令が今年(2023年)10月1日に施行されます。
◆配当での新規定の利便点
なお、M&Aなどでの株式取得の場合で、株式取得から配当までの期間が短い時、持分割合100%の子法人からの配当であったとしても、上記特例の完全子法人株式等からの配当に該当しないことがあります。
受取配当等の益金不算入の規定を踏まえて、配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで(1年超の場合は1年)の期間、引き続きその持分割合100%の株式を継続保有していることが必要との要件が付されているからです。
ただし、関連法人株式等についての判定では、受取配当等の益金不算入の規定の6ヶ月間継続保有規定と異なり、配当支払者側での実務上の処理可能性への便宜的配慮として、配当等の額に係る基準日の状況で判定とされています。従って、完全子法人株式等に該当しなかったとしても、配当基準日の持株割合で関連法人株式等に該当すれば、結果的に源泉徴収不要にはなってしまいます。
それから、100%や3分の1超の持分割合の判定は、受取配当等の益金不算入の規定が間接支配を経由したみなし直接支配で判定することにしているのと異なり、配当支払法人にとって直接100%や3分の1超の関係になっているかで判定するものとされています。
支払配当の源泉徴収の要・不要の要点が実務処理への便宜の配慮に置かれていることが、推測されます。
◎相続対策と課税の公平
タワーマンション事件では、被相続人が事業承継の目的で取得したマンションの相続税評価は、財産評価基本通達(評価通達)によるのではなく、総則6項を適用した鑑定評価額によるとして追徴課税されました。
相続人は相続税評価額をマンション取得のための借入金と相殺し、相続税額をゼロと申告しましたが、銀行に残された資料等から一連の取引が租税負担の軽減を意図したものであると認定されました。
◆相続対策に対する課税
相続対策は、生前に財産を組替え、移転させることにより、課税価格を少なくして相続時の税負担を圧縮させるものですが、これらは法令に従う限り、本来、適法であり、実際、申告には路線価等に基づく評価が求められます。
一方で、評価通達には、総則6項が別に定められており、通達による評価が著しく不適当と認められるときは、評価通達ではなく、国税庁長官の指示を受けて評価すると規定されていますが、その場合は納税者の意に反して課税されることになります。総則6項の「著しく不適当」がどの程度を指すのか明確に規定されていませんが、最高裁は実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的な理由があると認められるので、評価通達によらなくても平等原則に反しないと判示しました。
◆租税法律主義との相克
評価通達によらずに課税庁が評価するとなると、そこには課税庁の恣意性が働き、納税者にとっては自分の申告が適法か予測できず、いつ否認されるかわからない不安定なものとなってしまいます。
総則6項を適用するのは、行き過ぎた税負担の圧縮が行われたときとされますが、その判断を納税者に求めるのは無理があり、課税庁が財産評価を決め、変更することを自由にできるのであれば、申告納税制度の根幹が損なわれてしまいます。
◆租税公平主義を意識した相続対策
国税庁はパブリックコメントでマンションなど居住用の区分所有財産の評価について、市場価格と相続税評価額との乖離を埋める基準を公表しましたが、相続対策に対する判断基準を示しているわけではありません。課税庁には恣意的な課税をさせないため、適正な課税ルールを法律で定めることを求めつつ、納税者には今後も租税公平主義を意識した相続対策が求められそうです。
◎中小企業と独禁法
◆独禁法の意義
独占禁止法(以下「独禁法」)と聞いてどのようなイメージが浮かぶでしょうか。もしかすると、その名称から、特定の業界において非常に大規模なシェアを持つ一部の大企業に関係する法律で、それ以外の多くの企業には関係のない法律と思われるかもしれません。しかし、独禁法とは事業者の公正な競争を阻害する様々な行為を規制する法律であって、企業の規模を問いません。また、近年、企業間の適正な価格転嫁による賃上げの実現や個人事業主との関係でフリーランス保護などが問題になっており、中小企業の業績や労務環境の悪化のしわ寄せの原因が、実は独禁法に抵触する不当な行為による可能性もあります。
これらのことから、独禁法は中小企業においても大いに関係のある法律といえます。
改めて独禁法は、「公正かつ自由な競争を促進することを目的とする」法律(独占禁止法第1条)で、その保護の対象を「競争」そのものとしていますから、「競争者(事業者)」を直接保護することを目的とした法律ではありません。つまり、独禁法は、中小企業を保護するために大企業の行為を規制するのではなく、あくまでも企業間の競争における不公平な行為を規制します。したがって、仮に中小企業が大企業との競争に負けても、その競争間に不公平な行為がない場合には、独禁法の問題は生じませんし、また、可能性は高くありませんが、中小企業が大企業に対して不公平な行為をした場合には、中小企業が独禁法の規制を受けることになる可能性もあります。
◆不公平な行為とは
独禁法において企業間の公正な競争を阻害する不公平な行為は、次の4類型に分類されます。
①不当な取引制限:談合、カルテル等
②私的独占:市場支配的な企業による排除行為等
③不公正な取引方法:優越的地位の濫用、再販売価格維持等
④企業結合規制:合併、分割、事業譲受等
◆最後に
繰り返しになりますが、独禁法の目的は、中小企業を大企業から守ることではありません。大企業との取引適正化を実現するためには、中小企業自ら独禁法の趣旨や内容を理解し、取引に臨む姿勢が求められます。
タワーマンション事件では、被相続人が事業承継の目的で取得したマンションの相続税評価は、財産評価基本通達(評価通達)によるのではなく、総則6項を適用した鑑定評価額によるとして追徴課税されました。
相続人は相続税評価額をマンション取得のための借入金と相殺し、相続税額をゼロと申告しましたが、銀行に残された資料等から一連の取引が租税負担の軽減を意図したものであると認定されました。
◆相続対策に対する課税
相続対策は、生前に財産を組替え、移転させることにより、課税価格を少なくして相続時の税負担を圧縮させるものですが、これらは法令に従う限り、本来、適法であり、実際、申告には路線価等に基づく評価が求められます。
一方で、評価通達には、総則6項が別に定められており、通達による評価が著しく不適当と認められるときは、評価通達ではなく、国税庁長官の指示を受けて評価すると規定されていますが、その場合は納税者の意に反して課税されることになります。総則6項の「著しく不適当」がどの程度を指すのか明確に規定されていませんが、最高裁は実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的な理由があると認められるので、評価通達によらなくても平等原則に反しないと判示しました。
◆租税法律主義との相克
評価通達によらずに課税庁が評価するとなると、そこには課税庁の恣意性が働き、納税者にとっては自分の申告が適法か予測できず、いつ否認されるかわからない不安定なものとなってしまいます。
総則6項を適用するのは、行き過ぎた税負担の圧縮が行われたときとされますが、その判断を納税者に求めるのは無理があり、課税庁が財産評価を決め、変更することを自由にできるのであれば、申告納税制度の根幹が損なわれてしまいます。
◆租税公平主義を意識した相続対策
国税庁はパブリックコメントでマンションなど居住用の区分所有財産の評価について、市場価格と相続税評価額との乖離を埋める基準を公表しましたが、相続対策に対する判断基準を示しているわけではありません。課税庁には恣意的な課税をさせないため、適正な課税ルールを法律で定めることを求めつつ、納税者には今後も租税公平主義を意識した相続対策が求められそうです。
◎中小企業と独禁法
◆独禁法の意義
独占禁止法(以下「独禁法」)と聞いてどのようなイメージが浮かぶでしょうか。もしかすると、その名称から、特定の業界において非常に大規模なシェアを持つ一部の大企業に関係する法律で、それ以外の多くの企業には関係のない法律と思われるかもしれません。しかし、独禁法とは事業者の公正な競争を阻害する様々な行為を規制する法律であって、企業の規模を問いません。また、近年、企業間の適正な価格転嫁による賃上げの実現や個人事業主との関係でフリーランス保護などが問題になっており、中小企業の業績や労務環境の悪化のしわ寄せの原因が、実は独禁法に抵触する不当な行為による可能性もあります。
これらのことから、独禁法は中小企業においても大いに関係のある法律といえます。
改めて独禁法は、「公正かつ自由な競争を促進することを目的とする」法律(独占禁止法第1条)で、その保護の対象を「競争」そのものとしていますから、「競争者(事業者)」を直接保護することを目的とした法律ではありません。つまり、独禁法は、中小企業を保護するために大企業の行為を規制するのではなく、あくまでも企業間の競争における不公平な行為を規制します。したがって、仮に中小企業が大企業との競争に負けても、その競争間に不公平な行為がない場合には、独禁法の問題は生じませんし、また、可能性は高くありませんが、中小企業が大企業に対して不公平な行為をした場合には、中小企業が独禁法の規制を受けることになる可能性もあります。
◆不公平な行為とは
独禁法において企業間の公正な競争を阻害する不公平な行為は、次の4類型に分類されます。
①不当な取引制限:談合、カルテル等
②私的独占:市場支配的な企業による排除行為等
③不公正な取引方法:優越的地位の濫用、再販売価格維持等
④企業結合規制:合併、分割、事業譲受等
◆最後に
繰り返しになりますが、独禁法の目的は、中小企業を大企業から守ることではありません。大企業との取引適正化を実現するためには、中小企業自ら独禁法の趣旨や内容を理解し、取引に臨む姿勢が求められます。
2023年12月5日更新
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